Americaを見て思うこと
日本を離れてアメリカから日本を見ていると、あらゆる面において日本はアメリカを追いかけようとしているように見える。でも本当にそれでいいのか。

一部の成功者が巨額の富を握り、街にはホームレスがあふれ、餓死者がでる。医療費の高騰は家計を圧迫し、社会問題化するも、医療保険制度はクリントン政権が何度も改正に手をつけようとして失敗に終わった。どこかの国の10年後の姿じゃないだろうか。

大企業のCEOが年間数100億円もの報酬を得る。ここまではいい。個人的には数100億円である必要はないと思うけど(そんなにとる余裕があるなら配当をまわせよ。商品の値段を下げろよ。)、夢があっていい。でも、努力をすれば、そして一定の運があれば運命が開けるのだという前提を、まったく信じられないシステムを作り上げたとしたら、American Dreamは自らが作り上げた不平等のもとに絶望した人々を抱え、頓挫していくことになるだろう。

Los Angeles Mayor Villaraigosa takes control at City Hall (CNN)LAの新市長の就任演説を数日前TVで聞いた(僕は時々TVで聞きやすい番組を探し、時事ネタを仕入れるとともに、ヒアリングの練習をしている。)。1872年以来のヒスパニック系の市長の登場は、移民の多いLAならではの現象なのかもしれない。彼の演説はすごく的を得ていて「僕のDreamに参加してくれ」という言葉を使いながら、American Dreamとはまた異なる夢を語りかけていた。以下は私が理解した限りの、私が書きたい部分の要点のみなので本当に正確に中身を知りたい人はどこかで視聴ファイルを探してもらいたい。
街角に警察官を増やそう。今必要なのはギャング、銃、ドラッグとの闘いだ。皆が安心して暮らせる街にしよう。でも、もっと大切なのはこれらの問題の根底にあるパブリック・スクールを変えることだ。アンジェリーナは僕の夢に参加してほしい。皆で夢を実現しよう。
成功したものが億万長者になれ、寄付というかたちで社会に貢献する。このことはいい。ただ、「日本企業はもっと寄付をすべきだ。」とアメリカ人からの批判に対しては、僕はこうこたえることにしている。
「僕たちは社会的にコストが高くても、寄付の必要ない、善意に頼る必要のない社会システムを作ろうとしている。」
自由競争原理を入れていく仕組みはいい。ボランティア活動が盛んになるのもいい。でも、頑張れば夢が実現できるんだと信じられる仕組みと、貧乏でも死ななくて住むんだという最低保障ラインが崩れたとき、犯罪・暴力・貧困という高い社会的コストとして僕たちの社会に戻ってくる。

日本でも公立学校の質の低下が叫ばれて久しい。医療と公共教育に対する社会的投資を怠ったときに日本の将来がどうなるのか、もう一度考えないといけないのではないか。こんなところでアメリカを見習っちゃいけないと思う。頑張ったら成功できるシステムを作るのはいい。でも、親の世代が不幸にも経済的に恵まれなかったから、成功できないシステムは作っちゃいけない。親が経済的に恵まれなかったから、生存を脅かされるシステムは作っちゃいけない。そんなことを思う、アメリカでの留学生活だった。
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by neon98 | 2005-07-08 23:00 | 日常・海外生活
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