経営者の報酬開示がもたらしたもの
アメリカ企業のCEOの高額報酬についてやや批判的なことを書いたものの、例えばマイクロソフトのビル・ゲイツや、ソニーの盛田さんがとる報酬についてどうこういうつもりはない。創業者として優れたアイデアと実践力により一大企業を形成した人と、そうでない人は区別されるべきだろうと考えている。要するに付加価値の問題で、水準としてアメリカの報酬は高すぎるんじゃないのという感覚的なものにすぎないので、たいした議論じゃありません。

今回の主題は、情報開示が常に株主によい影響を与えるとは限らないという話。面倒なので、ソースは示さないでいきます。役員の報酬はIN RE THE WALT DISNEY COMPANY DERIVATIVE LITIGATION (PDF)において代表訴訟として争われているけど、基本的にFiduciary Duty違反とまでいえる事例はほとんどないといっていい。実は報酬が高額化してきたのはここ数年の話で、役員の報酬が開示されてから以降の話だそうだ。他の上場企業の経営者の報酬が開示されるにあたって、「なんだ、あいつがあんなにもらっているなら俺ももっとよこせ。」と言うやつが増えてきたのが原因らしい。

まあこのあたりは人材のマーケットの需給の問題であって、だからといって開示をしないでいいという理屈にはならないんですが、開示が株主以外にどのように影響を与えるのかという一例として面白い。「俺がナンバーワンだ。」という世界では報酬の開示が高額報酬への競争みたいな原理として働いたのだろうか。アメリカの株式市場がここ数年好況だったというのも大きな原因だろうけど。

総額報酬の限度額を開示しているから、個別に誰がいくらもらったかは開示しないというのが日本の株主総会実務。法律に反するかどうかということじゃなくて、本当にこれでいいのかは考えないといけない。上場企業の役員が会社から受領する金銭にプライバシーなんてないんじゃないのという気もする。周囲も本当に優れた人が高い報酬をもらうことに対して批判する必要はない。

ステレオタイプな議論として、日本社会を「横並び社会」と仮定し、さらに高額報酬に対して世論の非難がすごいと仮定した場合に、個別報酬開示をすればどういう影響があるんでしょうね。

よい悪いじゃなく、資本の垣根がなくなっていくことにより、必然的にアメリカを中心とした「発言力の強い」カルチャーが浸透していくのは必然だろうけど、「カネ、カネ」というのは美しくないとする日本人のカルチャーってなかなか変わりそうにない。でも、それでもいいかとも思う。
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by neon98 | 2005-07-12 03:32 | LEGAL(General)
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