本人確認と弁護士の注意義務
なりすましについて指宿教授のBlog経由で記事を見つけた。

教授が指摘するように実は本人確認というのは非常に難しい。曖昧な記憶だが、刑事訴訟法の教科書にも本人間違いの事例をどうするのかについて記載があったように思う。民事訴訟においても原告を名乗る人が実は別人だったという事例があった。どこでもIDを要求される米国と異なり、今まで日本では本人確認では比較的緩やかだったように思う。それでは、本人確認を徹底するために、免許証やパスポートの提示を要求すればいいのかというと、それだけでは確実とはいえない。

パスポートの本人確認は戸籍抄本以外に保険証等の本人確認資料を要求しているのだが、運転免許の本人確認資料は住民票写しのみである。犯罪を助長するわけにはいかないのでこれ以上は書かないが、これだけでは本人確認資料として十分とはいえない。行政による手続きの見直しが必要だと思う。

他方、本人確認を100%可能にする手段は存在しないのは事実で、あまりにも事務コストの大きい制度設計をするわけにはいかない。米国も州によっては事実上一部の外国人によるID取得を不可能にする本人確認制度をとっているところもある。わりきってしまえば、公文書偽造、公正証書原本不実記載罪などによる刑事罰で身元詐称を防止しつつ、本人確認による申請者、事務取扱者のコストとの兼ね合いで決めないといけない問題だとは思う。

依頼者が他人名義で訴訟を提起することを依頼してきた場合に、弁護士が相応の注意を払わないと、身元を詐称した「依頼者」との関係はともかく、他人名義訴訟により被害を受けた「本人」あるいは被告から過失による不法行為による損害賠償請求または懲戒請求を受けないとも限らないだろう。少し疲れが蓄積しているので、ああ怖いね、気をつけようということで、本日はこれまで。
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by neon98 | 2005-10-15 04:51 | LEGAL(General)
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