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判決の短さと裁判官の独立
Toshiさんが会見予定についてお知らせくださったのはこれだったようで、井上薫判事が再任拒否の撤回を要求(Asahi.com)されたようです。この方とは面識もなく、判決文を直接読んだ経験も(記憶の限りでは)なく、裁判官としての資格うんぬんを議論するつもりはありません。
会見で井上判事は「所長の指図は裁判干渉だ。憲法が定める裁判官の独立を侵害する。再任拒否のまま終われば、裁判干渉が公認されたという前例が裁判史上に残る」とし、「裁判官の独立も、国民の基本的人権も、絵に描いた餅になる」と話した。
かつての寺西判事補のように政治活動の自由を理由とした場合に裁判官の独立が議論になることはよくあったのですが、判決の短さというとどうなのでしょうか。

憲法上の裁判官の独立が三権分立の重要な要素として機能しなければならないことは当然としても、裁判官としての基本的能力まで再任拒否事由に当たらないという意見は少ないと思います。当事者の納得を得るために判決理由を当事者に対してわかりやすく説明すること、判決の法形成機能や上訴での反論機会を与えるために裁判官の思考過程を少なくとも専門家にわかるように説明することまでは裁判官に必要不可欠な能力であると思います。私も弁護士として裁判官の資質に対するアンケートに答えたことがありますが、おそらくは弁護士による裁判官の評価も再任の判断に利用されているはずです(弁護士による評価がすごく重視されているとは思いませんが。)。所長が裁判に介入しているとはいえると思いますが、どんな裁判を行っても干渉されるべきではないとまでは思いません。

問題は再任拒否の過程が透明性を欠いたり、ご本人に争う手段が残されているかどうかというプロセスの問題であるように思います。実際はこのあたりに批判があるのかもしれませんが。
by neon98 | 2005-12-22 05:31 | LEGAL(General)
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