浦島太郎脱却計画(2)-投資サービス法(仮称)
浦島太郎脱却計画もいよいよ具体化。マツケンサンバが第一弾(クリアできてないけれど…)として、第二弾は投資サービス法(仮称)ということで報告(案)程度はながめておくことにします。むろん英米法の学習なり、米国法律実務の研修も続けます。なお、報告(案)は金融庁HPから入手できます。

過去の議論の経緯を見ていないので全体像がまず把握できていないのですが、縦割りを廃し、機能別・横断的法制を目指すため、証券取引法を改組し、投資サービス法(仮称)を制定するということなので、失礼ながら金融商品販売法のような小手先の規制とは異なるようです。コーポレートロイヤーにも必須の法律になるように思いますので、概要をさらっとメモしておきましょう。



1. 対象商品

対象となる投資商品について、可能な限り幅広い金融商品を対象とすべきとしつつ、①金銭の出資、金銭等の償還の可能性を持ち、②資産や指標などに関連して、③より高いリターンを期待してリスクをとるものといった基準の設定を試みつつ、具体的定義については可能な限り大きな括りで列挙するとともに、金融環境の実情や変化を踏まえてきめ細かい適用除外や商品指定ができるおうにすることが適当とされ、リスクとリターンの考え方については金融商品販売法の概念を採用するということです。

さすがに米国証券法の「証券」の定義を採用するとかいう話はなかったようなので一安心ではありますが、規制対象の選択にあたってはHowey判決が参考にされています(別紙2)。預貯金・保険・共済などの一部も対象とされ(別紙1)、普通・定期預金、保障的保険を含めるかどうかは依然として意見が分かれているようです。

2. 業法との関係

気になるのはどの法律が統合され、どの法律が残るのかという部分です。外国証券業者に関する法律、有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律や金融先物取引法などを含め、同種の性格を有する法律を可能な限り投資サービス法に統合すべきとしているのですが、不動産特定共同事業などの他の業法との関係に関しては、「投資サービス法との関係を整理することが適当」としか述べられておらず、何もわかりません。銀行業・保険業・信託業・無尽業については投資サービス業の業登録の範囲に含めないこととしています(別紙6)

3. 対象業務

投資商品に関する「販売・勧誘」、「資産運用・助言」及び「資産管理」を対象とすることが適当とされています(詳細は別紙4・5)。開示規制として有価証券届出書提出・目論見書交付義務と、業者の行為規制としての事前説明書面交付義務(目論見書交付の場合に免除)、運用報告書交付義務を課すということです(金融商品販売法の義務については行為規制として取り込まれ、行政の監督下におくこととされています。)。適合性の原則に関して適合性レターを要求するか、民事責任における損害を推定するかについて議論がなされています。その他、クーリングオフや広告規制などが検討されています。

4. プロとアマの区分

集団投資スキーム(ファンド)についても対象とする一方で、プロ向けファンドについては過剰規制をしないように配慮するとされています。

5. 自主規制機関―証券取引所

自主規制機能の点については以下のような両論併記というかたちをとっていて議論の決着がつかなかったようです。すなわち、取引所の自主規制機能は、法律の授権により公的な役割の一部を取引所が行使する「上からの自主規制機能」と、取引所会員間の取極めである定款や諸規則の規程に基づいて行使する「下からの自主規制機能」という考え方の対立があるとされています。株式会社化した場合の利益相反を「営利性と公共的性格」との間の利益相反ととらえ、取引所における自主規制機能が他の業務から独立して遂行されることが求められるとする一方で、営利性は自主規制機能の適正な発揮という公共性と両立し得ないことはないとも考えられるとしています。結論としては、自主規制機能を担う組織については、別法人におくことや、独立性を高めた上で同一法人内におく方式など、市場の開設者が自らの判断により選択できる制度とすることが考えられるとしています。

ただ、上場した取引所については一歩厳しく踏み込み、「前述の制度的枠組みに沿って自主規制機能を担う組織の独立性を確保するよう求めるとともに、最近の会社法制改正により株式会社の機関設計が図られていることなどを踏まえ、主要株主規制などの現行制度を点検し、必要に応じ適切な対応を講ずることが適当」としています。自主規制機関の業務の適正確保のための立入検査、監督命令などの設置が適当とされていることからすると、証券取引所などの自主規制機関への監督強化といえるでしょう。

6. まとめ

ご覧のとおりでまだまだ大枠すら十分にはわからない状態です。直接金融の分野のみならず、間接金融も包括的に取り込む法律ですから、証券取引法よりも包括的・横断的な法律になるようです。特に専門分野にかかわらず、皆さん勉強が必要な法律と思います。

税制は直接金融と間接金融とで中立的であるべきと思うのですが、法制はリスクの高さ・仕組みの難解さなどにより金融商品ごとに区分していくべきもので、一つの法律の中に放り込むときに無理に統一的に扱うべきではないように思います。別に法律は一つでも二つでもいいですが包括的・横断的にするために規制まで統一的にしないように技術的な工夫が必要でしょう。もう一つは、現行の証券取引法及び関連法を読む際にはとにかく引用が多くて判例六法、証券六法とWEB六法との3冊を同時に広げてにらめっこしないと内容が理解できないという問題があります。お前が馬鹿だからと言われると身も蓋もないのですが、法律家の端くれの私くらいにはわかるように条文を表記してもらいたいです。
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by neon98 | 2005-12-23 04:38 | Securities
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