あるおばあちゃんのお話
大学時代、アルバイトで購入した中古のSuzuki Bandit400に乗って日本全国ツーリングの旅に出かけていた。東北地方を除き、ほぼ全国まわりつくせただろうと思う。d0042715_7483890.jpg
長野県のある地方を一人でツーリングしていた時、ふとした疲れから休む必要を感じ、ふとした空き地で寝袋を枕に休憩していた。農家の軒先だったのでそこにテントを張るのもはばかられ、かといってテントを張る場所を探すのにも疲れていたので、とりあえず休息をとろうとしてうつらうつらしていたのだ。
あんた、そんなとこで寝とらんと、うちに来なさいな。
あるおばあちゃんが私に声をかけ、私の恐縮の声はまるっきり無視し、「食事が準備してあるから」とさっさと家の中に入られてしまった。その時点で、断る術もなく、バイクを押しておばあちゃんの家にあがりこむことになった。考えてみれば、一人暮らしのおばあちゃんの家に帰宅前の食事が準備してあるはずがないのだが、そのときはあまり不思議に思うこともなく、おばあちゃんのペースにのせられて素直にお邪魔することにした。

食事をご馳走になりながらおばあさんの身の上話を伺ったところ、数年前にご主人を亡くされ、お子さん達は皆都会に出られているため、一人暮らしで近くの畑をほそぼそと耕しているということだった。おばあさんの作った野菜やら、近所さんからもらった刺身やら、お客さん用においてあった日本酒やら、遠慮なくご馳走になり、その晩泊めていただいた。空きっ腹に随分なご馳走とありがたいお話も色々と聞かせてもらった。

おばあさんは、あまり説教じみた話はされない方で、遊びほうけている大学生相手に小言じみたことは言われなかったけれど、
遊びでも勉強でも今しかできんことがあるんじゃけえ、何でも死ぬ気でやりなさいよ。死んだおじいさんも私も子供らや孫らにはいつも同じことを言うてたの。
と一言おっしゃった。時間が無限にある間は時間の貴重さに気がつかないのだろう。当時無為に失った時間の貴重さは、無為に失ったかどうかも含め、後にならないとわからない。

当時20歳前後だったか、十分大人であるはずの私は、彼女から受けた恩義やら、大切な言葉の意味を十分に理解しなかったのだろう。失礼する際に丁寧にお礼を述べ、自宅から彼女に手紙を書いたまではよかった。おばあちゃんは丁寧にお返事の手紙をくれたのに対し、なんら挨拶をすることもないまま、住所を記載した紙をどこかになくしてしまい、年賀状を出すこともしないままもう10年以上になる。一宿一飯の恩義に対して、私が何をしたか、年賀状の季節が来るたびに思い出してしまう。不義理をしたものだと猛省することしかできないのだが。
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by neon98 | 2005-12-28 08:23 | よしなしごと
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