Securities Regulation履修の薦め
証券取引法といえば、法律実務家ですら頭を抱える難解な条文の集合体なわけで、業務で必要な場合に仕方がなく条文と注釈とを並べてうーんと唸るだけであまり好きな分野ではなかったのですが、それにもかかわらず、LLMで履修選択してよかったなあと思うのがSecurities Regulationです。比較法的視野を持つことにより日本法をよりよく理解できるようになるというのはほぼ全ての法分野についていえることなのですが、証券取引法の場合は米国法との類似性が強いためにこのことはさらにいえるでしょう。

とはいえ、米国証券法もすさまじい数の条文の集合体であることに代わりはなく、「私募」とは・・・、「証券」とは・・・なんて感じで教えていたら、すぐに飽きちゃったに違いありません。こちらのロースクールに来ていいなあと思った教え方が機能を中心として教える方法です。具体的にいうと、
(1)投資家間の情報の格差がどのような問題を引き起こすのか、それは経済的に評価してどうなのか。
(2)アナリストはどのような業務を行い、利益相反と言われる問題は何なのか。Regulation FDはそれにどのように対処しているのか。
(3)インサイダー取引はそもそも悪いことなのか。判例はどのように変遷してきたのか。
(4)公募の際に引受証券会社、会計士、弁護士の果たす役割は何か。
(5)情報開示のコストは何か。
等の問題を現実の事例を敷衍しながら判例・条文を確認していくと、非常に面白いですし、ようやく難解な日本の証券取引法の条項の趣旨なりが理解できてくるわけです。

証券取引法は司法試験受験科目ではもちろんありませんでしたし、法学部で選択することもなかった私としては、OJTで勉強するほかなかったわけですが、体系的・機能的・有機的に証券取引法を理解するには米国法を通じて学ぶ方法が非常に有益でした。極めて実務的にFilingの中身だけをどんどん見ていくという講義もあるようですので、全ての講義で大きな視座を与えてくれるわけではないと思いますし、根本的には教授との愛称だと思いますが、個人的にはLLMで一番履修選択してよかったなあと思える科目の一つではあります。

でも日本に帰国しても証券取引法ロイヤーにはならないだろうし、なれないと思いますが・・・。
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by neon98 | 2006-01-20 06:13 | Law School
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