シリーズ 日本のCorporate Governanceを考える(8)-株主中心主義と倒産状態(上)
Corporate Governanceに関しての私の立ち位置としては、株主中心主義を基礎におくということを既に申し上げました。今回は倒産状態における規律をどう考えるかということで、まず設例から入りたいと思います。
東証一部上場企業であるヤバイゾ株式会社は取引先の倒産の影響で手形の不渡りを出し、再生手続開始の申立てを行いました。ドコカノ地方裁判所より同日再生手続の開始決定がなされ、いわゆるDIP型の手続きとしてスポンサー候補者の選定も終了し、監督委員の同意を得てセイジツ株式会社がスポンサーとして選定されることになりました。ところが、スポンサー選定手続きに敗退したコワイゾ株式会社がヤバイゾ株式会社の株式を水面下で買い集め、定時株主総会の基準日までに議決権の過半数を握っていたことが判明しました。コワイゾ株式会社は数日後の定時株主総会において株主提案権を行使し、役員選任議案としてコワイゾ株式会社の役職員をヤバイゾ株式会社の役員として選任することを提案してきています。

ヤバイゾ株式会社の取締役会としては公平にスポンサー選定を進め、債権者の利益極大化のためにはセイジツ株式会社がスポンサーとして望ましいと結論を出しています。民事再生法166条に定める資本減少の定めにより100%減資をすることも検討しましたが、残念ながら公認会計士の判断としてはヤバイゾ株式会社は債務超過に陥っておらず、資本減少の許可が得られる見込みはありません。また、定時株主総会は数日後に迫っているので、それまでに再生計画案を提出できる見込みもありません。コワイゾ株式会社の株主提案が通ることは明確であり、その場合はヤバイゾ株式会社の取締役会はコワイゾ株式会社の支配化におかれることになります。そうなると、セイジツ株式会社による第三者割当増資引受が履行されることはないでしょう。

あなたはヤバイゾ株式会社の代理人として対策会議に出席し、以下の点について意見を求められています。

1. 取締役は民事再生手続きのもとでは誰に対して善管注意義務を負っているのか。
2. セイジツ株式会社による第三者割当増資を進めるにあたって具体的に選択する手段は何か。
3. 仮にヤバイゾ株式会社が債務超過である場合(但し、定時株主総会前に資本減少の許可を受けて100%減資するという選択はスケジュール上間に合わない)、上記の結論は変わるか。

〔回答は原則としてトラックバック形式によること。コメント欄は文字数の制限があるので簡潔に答えること。問題に不備がある場合は適切な仮定をおいて回答されたい。〕

実際にありうるかといえばコワイゾ株式会社みたいな「勇気」ある行動をとる会社はないでしょうが、真面目に検討する必要がある局面におかれたことはないではありません。コワイゾ株式会社のウッシッシ社長の嫌な顔を思い浮かべながら考えてください^^。

次回は米国法の話で、回答は次々回かな?と思ってます。今日はこんなところで。
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by neon98 | 2006-02-09 08:05 | Corporate Governance
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