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コングロマリット・ディスカウントとブログのスピンオフ
なぜかニューヨークでは気温が4℃もあるのに外はかなりの量の雪が降りつつある今日ですが、皆さんはいかがお過ごしですか。Vacationではビーチやプールで泳ぎ、NYに戻るときれいな花が咲いていた今日この頃だったのに、積もらないまでも雪が降るというのはなんだか異様な感じです。閑話休題。

最近バカンスでBlogをさぼったうえに、わりとやることが多くてまともなエントリを書いていないので、徐々にアクセス数が落ちてきています。真面目に法律ネタを書いているときの方がアクセス数が多いということは、私のよしなしごとカテゴリに価値を見出す人間が少ないということでもあります。もともとは留学中の日記がこのブログの始まりであり、たまに思いついたよしなしごとや法律ネタを書いているうちに皆さんがお越しになられるようになったというものですから、結果的にブログのネタは分散されています。そういう意味ではTopicを絞りなさいというブログの王道には反しているわけです。これをブログの問題として考えた際の疑問は、一つのテーマに絞った方がいいのかどうかという点です。そこで、これを機会にブログのネタとコングロマリット・ディスカウントの関係について考えてみようと思ったわけです(かなり無理やりっぽい関連付けではありますが。)。

コングロマリット・ディスカウントについては、NYlawyerさんのDeconglomerationや、47thさんのGMスズキ株放出でわかりやすく記述されています。NYlawyerさんがまとめられたコングロマリット・ディスカウントの発生原因がとてもわかりやすいですので、引用します。
・中央集権化で会社本部のオペレーションにコストがかさむ
・せっかくFree Cash Flowを生んでも、うまく行っていない部門の損失穴埋め等に回されてしまう("subsidizing losses of poor performing units")
・会社全体あるいは部門間の財務状況が外部の投資家やアナリストには見えにくい(この不透明さが原因で株価のディスカウント="Diversification Discount" "Conglomerate Discount"が発生する)
・多分野・業種にわたる会社経営ができる経営者はあまり存在しない(中略)
・リスクの分散は投資家レベルで行われるべきもので投資先である企業が行うべきではない
・事業が多角化すると経営者に一種の「保険」を与えることなり経営者への規律が弱くなり妥当でない
私のブログは企業価値を生み出しませんし、株価評価を受けませんので、読者に与えた便益=アクセス数と仮定して話を進めます。私のブログが例えば現在一日あたり平均500人(ページビュー)の読者を得ているとします。それを(1)法律ネタ部門、(2)NYBAR情報部門、(3)留学日常情報部門に分割し、「スピンオフ」することにより、合計一日平均の読者層はどうなるでしょうか?

法律Blogという位置づけでの王道をゆくのは、ふぉーりん・あとにーの憂鬱とかビジネス法務の部屋なわけで、主にビジネス法務という分野に特化し、内容が濃いうえに更新頻度が高いという点で読者層を広げておられます。これに対して、法務の国のろじゃあは法律ネタ、芸能ネタ、含蓄に富んだ人生論的エントリをたくみに混ぜ合わせつつ、人気を読んでおられます。

仮にろじゃあさんとこのBlogがコングロマリット・ディスカウントにあうとすれば、「法務の国のろじゃあ」、「芸能の国のろじゃあ」、「酒と涙と男と女・イン・ろじゃあアイランド」という3部門に「スピン・オフ」するのが正しいことになりますが、これはどうなのでしょうか?(ろじゃあさん、勝手に論じちゃってごめんなさい。)「スピンオフ」を支持する人は、
更新の知らせを受けて訪問すれば必ず自分の期待するテーマのエントリが読める。
ある特定のテーマに関する情報密度の高さは読者の支持を得る。
と主張するでしょう。しかし、
自分の期待するエントリでなければ読まずにスルーすればいいし、訪問する手間はわずか数秒である。
仮に「ブログ事業」を3分割しても同じ人間が執筆するんだから他の経営者に事業を譲渡すわけではないから、規模のメリットや他の事業との親和性などは存在しない。
多才な人間であれば複数のテーマのエントリをうまく書き分けることができる。
同じブログ上でもカテゴリを設定すれば事実上「スピンオフ」と同様の機能が期待できる。
ともいえます。法律ネタを契機としてブログ執筆者のファンになった固定客層がブログ執筆者の日常生活にも興味を抱く場合もあるわけでして、コンプライアンスを語るろじゃあさんが同じブログ内に酒と涙と人生について語っておられるからこそ、読者が熱心にエントリを読むということもあるわけです。ブログを分散すれば更新頻度は下がるわけでして、それもアクセス数に影響を与えるやもしれません。

というわけで、ろじゃあさんところのスタイルはコングロマリット・ディスカウントにはあわないのではないかと思うわけで、私もそれを参考に現在のごちゃまぜスタイルを継続し、このどうでもいいエントリを読みにきてくれる方々を大切にしようなどと思うわけでした。要は、複数のブログを運用するなんて面倒だというだけかもしれないけれど。
by neon98 | 2006-04-06 00:44 | よしなしごと
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