「統計」の信頼性
私はわりとLaw and Economics的な発想は好きな方で、仮説はともかくとしてケーススタディやら実証研究やらは政策提言にどんどん活かされるべきだと思っている一方で、これらの研究の「怪しさ」なるものにも気づいているつもりではあります。例えば、取締役の社外性について一定のQualityを充たす会社とそうでない会社との間の業績比較について仮に有意の差があったとしても因果関係は不明だいう場合はありうるわけで、業績が悪いから社外取締役の助言を請うことにしたという場合もありうるわけです。

これらは因果関係の話ですから仮説をたてる以外になかなか立証しようがないわけですが、個人の考えを聞くというアンケートの場合にはもっとバイアスがかかりやすいといえるでしょう。よく憲法改正論の主張の裏づけとされるのが国民の何割が憲法改正に賛成しているとかいう数値なのですが、どういう対象に対してアンケートをしたのか、アンケートに伴ってどのような情報提供をしたのかによって全然違う数値が出てくるのは当然のことです。

毎日新聞が「連載縦並び社会」と題する特集を行っていて、現時点では、
規制を撤廃し、市場(競争)に任せる流れは今後も続く方向ですが、どう思いますか。

市場に任せるのが最善だ。 15%
現状程度の規制は必要だ。 38%
逆に規制を強化すべきだ。 45%
というアンケート結果になっていますが、これが国民の総意を反映しているといえるでしょうか。

毎日新聞ニュースの視聴者というだけでそれなりのバイアスがある(極端に強いバイアスだとは思いませんが)ことは否定できないうえ、規制緩和の弊害に反対するシリーズを読者に読ませたあとでのアンケートにどれだけの意味があるのか、という気がします。ローエコの世界で実証研究を発表した論文を結果のみ要約して引用していることは多々あるわけですが、時間のある限りは原典にあたるようにしているのは、統計なり実証研究なりの限界をみているためでもあります。世論を形成するための有意義な手法でもあるアンケート調査ですが、どういう調査方法で行ったのかを知ることなしに調査結果を評価することはナンセンスでもあると思います。

自分がどのような意見を持ち、どのような主張をする場合であれ、自分の主張の弱さなりは認識したうえで行動したいものだと思います(特定の誰かの利益を代弁する場合に中立的になるつもりはありませんが。)。
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by neon98 | 2006-04-13 13:20 | よしなしごと
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