懲りずに47thさんに敢えてこわごわ反論してみる・・・の巻
「貸した金返せよ。貸した金、はした金じゃねえぞ。」と私の頭の中にはウルフルズの借金大王が流れています。
結構「経済学の基礎的なロジック」が理解されていないような気がしたので、私のできる範囲で、なるべく丁寧に説明してみた次第です・・・でも、これは疲れます。
47thさんに怒られてしまいました^^。疲れさせてごめんなさい。でも、僕にはまだわかりません。
従って、デフォルト・リスクとの比較で「適正な」サービス対価(スプレッド)を決めることは、経済学的には全くナンセンスです。
私よりも知識のある方に自信満々でこう言われてしまったのですが、経済学なんてド素人なんで、こわごわ反論(というか質問?)してみることにします。

1.債務者の信用情報

ある債務者のデフォルトリスクとの比較で適正なサービス対価を決めないという議論はマーケットを分けない(=審査をしない)ことを前提にしていませんか?それともかなり強い情報の非対称性ないし情報収集コストの存在を仮定しているのでしょうか?
破産宣告をした直後のAさんと一部上場企業の課長であるBさんとに同じ金利で課すという議論ですか(闇金融の方だともうしばらく破産申立てが禁止されるAさんを好むでしょうが^^)?この2人の間ではマーケットが異なるのではないですか(それとも私の「同じ商品」という言い方がまずかったですか?金は金くらいの意味です。)?47さんの事例(病院の事例も含め)は全く審査をしないケースを想定されているように思われます。

消費者金融サービスを提供される会社さんがどのように審査をされているのかは、借りたことがないのでわかりません(机上の空論です。)。私がみた債務整理希望者の債権者リストからの想像ですが、一定の金額までほぼ無審査に近い状況で貸与(但し、貸出履歴に関するデータベースは共有しているのでその情報は審査している。)しているのだと思います。但し、それを超えると審査のレベルが変わります。

例えば、武富士さんさんであれば50万円以下の範囲で年利27.375%の「インターネット専用商品ー即答ローン」を提供されており、申込みは年収・勤務先・配偶者氏名などを記入するだけのようです(怖くて最終画面まで進んでませんのでわかりませんが)。これに対して、新社会人のための「フレッシュプラン」は店舗での申込みとして健康保険証の提出を求めており、審査手法が違います。これを違う商品だというのか同じ商品だというのかは言葉の遊びになってしまいますが、債務者の信用リスクにあわせて同じ商品(=無担保での貸付金)の金利(=価格)を変えているとは言わないのでしょうか。

債務整理をしないといけない方々は即答ローンでないと借りられない状況であり、皆さんが同じ価格帯の商品を購入するという想定だとすればそれも違うような気がします。貸し手はデータベースを通じてデータベースに参加している貸手業者からの貸付履歴が見られるので、貸付総計額のみをもってしても本当に危ない方々をお断りすることができます。

私のロジックに誤りがあるのか、仮定にずれがあるのか、前提事実に間違いがあるのか、なんだかわかりませんが、そういうわけで私は47さんのおっしゃることが理解できません。

2. 「年利のマジック」

一つは、消費者金融は融資期間において相当短かったり、額も少なかったりするものがあるということです。この場合、絶対額としては少額でも「年利」にするとびっくりするような数字になることがあります。
これはご指摘のとおりで、段階的上限金利の定めをすることによって対応することが可能です。このことは前提とした書き方をしたつもりでしたが、きちんとお伝えできていなかったようです。
もう一つは、消費者金融における利息の負担の重さは、元本額に対する金利負担によって定めるのではなく、借り手の稼ぎ出すキャッシュフローとの割合で定まるものであって、「投資」と同じ感覚で金利を比べることは何の意味もないということです。
投資に対する期待リターンの問題ではなく、より個人的な消費に対する選好の問題だからというご趣旨なんでしょうね。企業による投資の局面とは違い、消費に対する選好は主観的であっても合理的だということは理解できますからあまり異論はないです。それでも一定額以上の借り入れをした場合に債務者が現実的に返済することが可能な水準かどうかを考慮する材料としては使えるでしょう。

3. 「被害者」は誰か?

47thさんは色んな例をあげられていますが、多重債務者である場合はともかくとして、ほとんどの場合は現行の消費者金融会社さんが現行の利息で対応することが可能なように思われます(ちなみに私は上限金利を利息制限法側に寄せることはあまり想定していません。)。

アメリカの事例は一種の限界事例ですね。まさか47thさんにそのままのたうちまわって苦しんで死んでくれと申し上げるわけにはいかない^^ので、なんとか対策を考えたいところですが、あまり現実的ではないように思われます。海外旅行をされることを想定されている(学生であれば学生VISAとの関係が強制的に保険に入らされる)ようですので、海外旅行保険に入られるべきなのでしょうね。法制度が違うところへ移動され、お持ちの信用が役に立たないということであれば、備えが必要というのは、上限金利規制の有無に関わらず、いえることのような気がします。

無計画に借りつづける方々を除き、正当な資金需要はほぼ現行の金利水準でまかなえます。私は上限金利規制は必要だと主張しているだけで、それがどのラインなのかについては正直よくわかりません。たぶん20%-40%の間なのだろうと感覚的に思っているだけです。

理屈のうえでは金利上限規制により金融市場に対するアクセスを阻害された「被害者」が想像できます。浪費の限りを尽くしたあげく資金が借りられなくなった方に同情する人は少ないでしょうが、善良な市民が資金アクセスを奪われるという場面を想像するのはつらいものです。ただ、現状の金利でも相当額の融資の道は開かれています。医療保険や健康保険などの制度もあります。本当に善良な方が困っているのを助けるのは制度的なものばかりではなく、親族や友人も存在します。既に多くの借り入れをしているために上限金利の範囲では借りられない方々が多く存在するとすれば、それは少し寿命を延ばし、後日その延命よりも大きい損害を被るケースの方が多いでしょうから、短期的に融資をするよりも、これらの方々の生活設計を見直すか、国家の経済政策や福祉政策を見直すべきだと思います。いわゆるサラ金の仕事は困っている人を助ける人ではないのですから、いずれにせよ経済的メリットを見出せなければ貸せないわけで、金利上限規制よりも高い金利で貸す経済的メリットを見出すとすれば社会的損害の多い取立手法によらざるを得ないというだけの話です。

繰り返しますが、デフォルト率が高すぎる市場の存在を認めることは社会的にコストが高すぎます。年利が高くてもデフォルト率が低い取引(少額のもの、期間が短いもの)をどうするのかはある程度法令の定め方で対応できるでしょう(期間が短いローンをロールオーバーされたらどうするのか、など技術的に困難があるのは事実ですが)。利息制限法のそれはともかくとして、出資法の利息は大手消費者金融のそれを後追いするかたちで逓減してきたと言われており、現行法の範囲内で資金アクセスがあればさほど問題になる事例は少ないように思います。私の中では、返せないものは返せないと言い切ることの重要性の方が私の中ではよほどプライオリティが高いです。

政策評価の違いということであればある意味好みということでわかりあえない部分があってもいいのですが、1で書いた経済理論の部分が私にはどうにも理解できず、すっきりしないので敢えて反論をさせていただきました。同じ金を借りるのに信用力がない人の方が高い金利を要求されるのに、返済する金がない(確率が高い)という点で、他の市場とは異なるのではないかということが言いたいわけです。2と3は規制手法の選択とその妥当性の評価という部分ですので、まあ意見の差異は当然あるでしょうし、私も政策提言ができるほどデータを有しているわけではありません。

化学反応によりベターな選択が生じるというには私の学識が乏しすぎるとは思っています。何よりも単なる一弁護士が政策提言をするポジションにはないわけですし、私がBlogを書いたところで世の中は何も変わりません。ただ、放置するのも違和感がある部分でして、言いたいことがあれば言ったうえで恥をかくべき点があれば恥をかくというのも(社会には無用でも)私には有用な化学反応でしょう。

47thさんの本業を妨害するつもりはありませんので、もうエントリをする必要がなければどうぞ放置してください。また、47thさんとの間だけで議論をするのがいいとも思いませんので、他にもご意見があればお寄せください。
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by neon98 | 2006-04-22 22:47 | LEGAL(General)
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