2005年 12月 21日 ( 5 )

Plagiarismの扱い
ニュース記事をみて書きたくなったのでもう一つだけエントリ。京大教授が助手論文から盗作(Asahi.com)したということなので、関連エントリをしておく。

米国においては、Plagiarismは大学のみならず、実務家にとっても重大なルール違反として受け止められていてCitationは非常に厳格に運営されている。単なる著作権法の問題にとどまらず、著作権の切れた文献についても同様に引用しなければならない。誰かの貢献を自らの貢献として発表すること自体がルール違反なのであって、元の貢献が著作権法の保護に値するかどうかは関係がない。

ロースクールにおいてもThe Bluebookという引用ルールの本を買わされ、論文を書く際には引用ルールを細かく指導される。年度の最初にクラス全員を強制的に集め、Plagiarismについての警告が行われたくらいだ。ロースクールでのペーパーでPlagiarismの批判を受け、過去に退学になった生徒もいるようた。彼・彼女は、少しばかりの誘惑にかられたばかりに、将来を失うという高い代償を支払うこととなった。法律事務所のアソシエイトのメモでもCitationが正確になされていない文章は、内容以前の問題として評価されない。Law Journalの編集委員はこのCitationをひたすらチェックするのが主な仕事となっていることは以前書いた。

この教授の問題は、著作権法違反、盗作というルール違反にとどまらず、密室内で発生しがちな「暴力」的慣行を如実に物語っている。セクハラに続き、こういう問題が表に出てきて、これが氷山の一角だとすると、教授陣からして研究者の卵が人間として扱われているのか、疑問に思わざるを得ない。3ヶ月の停職処分というのはいささかぬるい気がする。多くの大学関係者がこのような問題に無関係であることは承知のうえで書かせていただいたので、どうぞ気を悪くしないでいただきたい。
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by neon98 | 2005-12-21 05:33 | Law School

外国税額控除についての最高裁判決
外国税額控除についての最高裁判決が注目を集めている。Tax Lawyerではないのでやや抽象論のコメントに終わってしまうけれど、この判決の射程をどのようにとらえるのがいいのか、困惑してしまう。
本件取引は,全体としてみれば,本来は外国法人が負担すべき外国法人税について我が国の銀行である被上告人が対価を得て引き受け,その負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税額を減らすことによって免れ,最終的に利益を得ようとするものであるということができる。これは,我が国の外国税額控除制度をその本来の趣旨目的から著しく逸脱する態様で利用して納税を免れ,我が国において納付されるべき法人税額を減少させた上,この免れた税額を原資とする利益を取引関係者が享受するために,取引自体によっては外国法人税を負担すれば損失が生ずるだけであるという本件取引をあえて行うというものであって,我が国ひいては我が国の納税者の負担の下に取引関係者の利益を図るものというほかない。そうすると,本件取引に基づいて生じた所得に対する外国法人税を法人税法69条の定める外国税額控除の対象とすることは,外国税額控除制度を濫用するものであり,さらには,税負担の公平を著しく害するものとして許されないというべきである。
企業がコストとして租税を軽減するための工夫をすること自体は正当な目的というべきで、問題は租税法の文言・立法趣旨からして「著しく逸脱」するものかどうかという点にあるはずだ。外国税額控除という制度が最高裁のいうように、「同一の所得に対する国際的二重課税を排斥し,かつ,事業活動に対する税制の中立性を確保しようとする政策目的に基づく制度」と位置づけるのであれば、もっとも租税が安くなる手法を選択し、法形式と実態が合致した取引を実行し、現実に外国において租税を負担している以上は容易にその法形式を否定すべきではないのではあるまいか。私には高裁での以下の要旨の方が説得的なように思われる。
(1) 本件取引の経済的目的は,C社及びB社にとっては,C社からB社へより低いコストで資金を移動させるため,被上告人を介することにより,その外国税額控除の余裕枠を利用してクック諸島における源泉税の負担を軽減することにあり,被上告人にとっては,外国税額控除の余裕枠を提供し,利得を得ることにあるのである。このような経済的目的に基づいて当事者の選択した法律関係が真実の法律関係ではないとして,本件取引を仮装行為であるということはできない。
 (2) 被上告人は,金融機関の業務の一環として,B社への投資の総合的コストを低下させたいというC社の意図を認識した上で,自らの外国税額控除の余裕枠を利用して,よりコストの低い金融を提供し,その対価を得る取引を行ったものと解することができ,これが事業目的のない不自然な取引であると断ずることはできない。したがって,本件取引が外国税額控除の制度を濫用したものであるということはできない。
租税という分野においては比較的容易に実質論が重視されやすいのだろうが、国益という観点からみて税収のみを考慮すれば足りるという問題ではないように思う。節税以外に重要な取引上の目的がみあたらない場合に法形式が無視されやすいということはよく言われるけれども、そのことのみをもって法形式が無視されるとした場合に法の予見可能性という部分は著しく損なわれることになる。

本件においては、手数料<外国税額という構図にあり、不自然な取引であるという認定がなされたのだろうか。この判決の射程は広く解釈されるべきではないと思う。金融の世界におけるコストには当然租税も含むと考えるべきであり、「租税回避目的」というキーワードのみで判断がなされないように慎重な対応をしていただきたい。
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by neon98 | 2005-12-21 04:33 | LEGAL(General)

Cyndellera Man
ずっと観たかった映画Cyndellera ManがようやくDVDでNetflixに入荷され、手元に届いたので早速昨夜みた。

d0042715_1133630.jpg極めて単純なストーリーで評論家には受けないだろうし、マニア受けもしないだろう。感動的なストーリーという以上に何もアピールすることはないのかもしれない。僕は、映画に高度な文化を求めないし、ストーリーは単純でいいと思っている。心に何か前向きなものや暖かいものを残してくれるか、それだけが好き嫌いの基準なので、本当に単純なヒューマンドラマに弱いのだ。

この映画、Long Island時代のMadison Squareがボクシングの会場として何度も出てくる。1929年~の大恐慌を時代背景とした一人のボクサーが家族の生活をかけてカムバックしていき、アメリカに希望を与えていくというストーリー。New Jerseyでの彼らの生活、Central Parkでのデモの様子などが描かれている。実話である。

いかにもアメリカ的なストーリーと人は言うかもしれない。その裏にはアメリカ的な単純さ、わかりやすさを馬鹿にした発想があるように思うのだが、単純だけど感動的な話に素直に感動できる子供じみた部分があってもいいと僕は思う。僕はダイハードを見て大泣きし、隣にいた当時の彼女を困惑させた人間なので、少しばかり「感動回路」が壊れているらしいが・・・。

一つだけ違和感のある点。
家族のために、これほど闘えるだろうか。
というキャッチフレーズは違うだろう。彼は家族のために闘ったのではない。父親としての彼のプライドのために闘ったのだと僕は思いたい。
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by neon98 | 2005-12-21 01:12 | 読書・映画等

司法のしゃべりすぎ?
タクシー全面禁煙望ましいと裁判所が指摘(Asahi.com)したという記事。タクシーの全面禁煙には賛成なのですが、裁判所が言うべきことはどうかは議論になりそうだ。

判決文が短いとして再任拒否が問題になった井上薫裁判官(町村教授のBlog参照)の著作に司法のしゃべりすぎという有名な本がある。判決文が短いのがどうかという部分は当事者に理由を理解させるに足りないほど短いのかどうか具体的に考えないとコメントのしようがないのだが、結論に影響しない部分で蛇足的に意見を述べるのは必要ではないという意見には基本的には賛成している。もっとも法の予測可能性を高めるという意味合いで裁判所の適用する法的思考過程を説明することは非常に有益と思っているので、結論に直結しない部分であっても説明をすべきだとは思うので、完全に同意しているわけではないのだが。

他方で、ケースブックに出てくるアメリカの判決文を読んでいると、皆好き放題書いていてびっくりするわけで、それと比較すれば多少の個人意見を入れることくらいいいじゃないかと思わなくもない。
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by neon98 | 2005-12-21 00:34 | LEGAL(General)

Strike on Subway and Bus (追記有)
Metropolitan Transportation Authorityのストライキ(NYTimes)が本日決行されている。年金制度の引き下げを巡り、交渉が決裂し、25年ぶりのストライキに突入した。一日平均700万人の乗客がある地下鉄のStopにより、New York Cityの状況は一変している。

4人以上乗車した車しかManhattanに入れず、11時までは商用車が入れない交通規制が敷かれているため、車がほとんどない。歩道は歩く人々であふれ、タクシーを待つ行列で混雑している。Lincoln TunnelやGeorge Washington Bridgeの近くでは歩行者を拾おうとする車がたくさん止まっていて、いつものバスより早かったなどと喜んでいる同僚もいたが、多くの人は寒い中延々と歩くほか手段がないようだ。

(追記)地下鉄という公共交通機関の労働者のストに制限はないのだろうかと不思議に思っていたが、やはりあるようだ。交通ストの労組に罰金100万ドル(Nikkei)とはすさまじい。明日は早朝から少し距離のあるところにいかないといけないのだが、地下鉄の動きはどうなるだろうか?
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by neon98 | 2005-12-21 00:16 | 日常・海外生活

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