2005年 12月 22日 ( 3 )

PrivilegeとInternal Investigation
Practising Law Instituteで、The Attorney Client Privilege and Internal Investigationsというセミナーがあったので参加してきました。不祥事発見の際の内部調査に関しては以前からずっと興味があったので、企業側の弁護士として(1)企業の刑事罰・行政罰を回避・軽減するためにどう行動すべきか、(2)Inhouse/Outside Counselそれぞれの立場で誰に対して報告すべきか、(3)民事訴訟でのPrivilegeの確保と捜査協力、(4)Conflictと弁護士倫理などの問題について楽しくきかせていただきました。Hypoは概ねこんな感じです。

1. PはA社のCEO兼議長である。ライバルのB社の社長であるQから、A社従業員がB社のWEBサイトにハッキングし、企業秘密を盗み出していると通告され、刑事告発および民事訴訟を提起することを示唆された。PはすぐさまInhouseのIに相談し、PとIは内部調査を行うことを決定した。誰が内部調査を行うべきか。

2. PとIは最終的にOutside CounselであるOに内部調査を依頼することにした。Oは「私の調査範囲はどこまでで、予算や調査対象資料などはどうなるのか」と聞いてきた。また、報告は誰に対してするのか、書面によるべきか口頭によるべきか。

3. Oは第一次調査の結果、従業員Bが不祥事を働いている可能性が高いと判断した。また、従業員Bの部署の部長Cもまた不正を知りつつ、何もしなかったという疑いを抱いていた。OがまずCにインタビューをしようとした際、「あなたは私の弁護士ですか?私自身に弁護士が必要ですか?必要だとしたら有能な人を紹介してもらえませんか?」と聞いてきた。

4. OはさらにBに対してインタビューを試みたが、Bは弁護士を雇いたいというので後日にインタビューを延期することにした。Bは弁護士と相談した結果、インタビューに協力しないと通告してきた。A社はBを解雇できるか?〔設問を一部変更〕

5. OはA社に詳細な報告書と簡易な報告書を提出した。A社は捜査機関に簡易な報告書を提出したが、検察官からは詳細なものを見せるように言われた。どうするか。Privilegeの放棄との関係を考慮せよ。

面白かったのは、内部調査を行う法律事務所自体がAdversed Partyにあたり、開示がWaiver of Privilegeにあたると解釈する余地があるとして、不祥事の内部調査を行う際に、(1)特別委員会を設置し、(2)委員会がPrivileged書面を読む法律事務所とPrivileged書面以外の内部調査を行う法律事務所を分けて内部調査を依頼(調査事務所にはPrivileged書面を開示しない)し、(3)委員会が両方の調査報告書の大筋に齟齬がないか確認(齟齬がなければPrivileged書面は結論を左右しないから、調査事務所の調査に問題はないという理屈)し、(4)さらに、事件全体を扱う法律事務所は別に雇うということが実際行われたと聞いたこと。これにはさすがのアメリカ人弁護士も皆そこまでやるか?と思ったらしい。
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by neon98 | 2005-12-22 07:34 | LEGAL(General)

水戸黄門 and Pills
最近時々Business Law Prof Blogというのをチェックしていて、今日面白いなと思うエントリがあったのでご紹介を。

Hedge Funds and Poison Pillsというエントリでなされているのは、Wall Street Journalコラムへの批判ないし指摘です。コラム自体は読んでいないのでBlogで紹介されているエッセンスを引用します。
Hedge funds buy 9.9% each so as to not trigger a firm's poison pill plan and then work together (in "wolf packs") to influence target firm behavior.
この文脈から推測するに、そもそものコラムの内容は複数のヘッジファンドがPoison Pillを発動させない程度の株式(9.9%)を保有しようとして偶然株式を買い進めていったらどうしましょう、彼らが対象会社に対する支配権を有するんじゃないだろうかということでしょうか(別にヘッジファンドに他意はありませんが、記事がヘッジファンドなのでそのままいきます。)。個人的には、磯崎さんと47thさんの3匹のドムの方が愛嬌があって好きなのですが、ここではWolf Packsとか名づけられています。

複数のWolvesがそれぞれ投資目的で割安の企業の株式を購入することは十分ありうると思うのですが、Blog著者は大量保有報告書がお互いを発見させる役割を果たすことをまず指摘しています。
「おお、助さん、なんだ、またあんたかい。」
「蛇の道は蛇よのう。角さん、匂うんだよ、この株は。」
「助さん、おれっちの儲けを邪魔しないでくれよな。頼むぜ。」
というわけです(どういうわけだ?)。

このような場合、対象会社はどのように行動するのでしょうか。公開買付で正々堂々と攻めて来たら「この城はお前らみたいな外道には渡せねえ。」とかいって戦いやすいんですが、助さんと角さんが協力関係にあるかどうかは明らかにはわかりません。むろんそれぞれのヘッジファンドはトリガーを超えてはきません。対象会社として「おい、こいつらグルだぜ。」と言ってしまえば、Poison Pillを発動することはできるわけですが、果たして発動するだけの動機があるのでしょうか。仮に対象会社がPillを発動したとしたとしても得をするのは助さん、角さん以外の株主であって、対象会社に経済的利得はありません。Blogの著者はグループと認定しても、グループ外のヘッジファンドが喜ぶだけだと指摘しています。助さん、角さんに加えて、風車の弥七、かげろうお銀が遠巻きに見ていて、誰も本気で攻めては来ないという状況ですね。

誰もそれ以上株式の買い増しはしないんですが、それぞれ9.9%なりの株式を保有して黙ってみているという状況、あるいは助さんだけがProxy Fightを仕掛けてきた場合(他の3人は黙っているが、議決権をどう行使してくるかわからない)、どうするんでしょうね。あまり証拠なしに「お前らみんなグルだろ」って言い切れるかどうかというと相当微妙な気がします。

3人のドムがガンダムを取り囲む状況と違うのは、皆もう少し消極的で「僕は君を傷つけたりしないよ。」という顔をしていることだと思うのですが、遠巻きににやにや笑っている姿を想像しただけでもおぞましく思います。もっとも、助さんたちじゃなくてWolvesであれば仲間内でだましあいがあって、いきなり売り抜けている奴がいるかもしれないからあまり機能しませんかね?
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by neon98 | 2005-12-22 07:06 | M&A

判決の短さと裁判官の独立
Toshiさんが会見予定についてお知らせくださったのはこれだったようで、井上薫判事が再任拒否の撤回を要求(Asahi.com)されたようです。この方とは面識もなく、判決文を直接読んだ経験も(記憶の限りでは)なく、裁判官としての資格うんぬんを議論するつもりはありません。
会見で井上判事は「所長の指図は裁判干渉だ。憲法が定める裁判官の独立を侵害する。再任拒否のまま終われば、裁判干渉が公認されたという前例が裁判史上に残る」とし、「裁判官の独立も、国民の基本的人権も、絵に描いた餅になる」と話した。
かつての寺西判事補のように政治活動の自由を理由とした場合に裁判官の独立が議論になることはよくあったのですが、判決の短さというとどうなのでしょうか。

憲法上の裁判官の独立が三権分立の重要な要素として機能しなければならないことは当然としても、裁判官としての基本的能力まで再任拒否事由に当たらないという意見は少ないと思います。当事者の納得を得るために判決理由を当事者に対してわかりやすく説明すること、判決の法形成機能や上訴での反論機会を与えるために裁判官の思考過程を少なくとも専門家にわかるように説明することまでは裁判官に必要不可欠な能力であると思います。私も弁護士として裁判官の資質に対するアンケートに答えたことがありますが、おそらくは弁護士による裁判官の評価も再任の判断に利用されているはずです(弁護士による評価がすごく重視されているとは思いませんが。)。所長が裁判に介入しているとはいえると思いますが、どんな裁判を行っても干渉されるべきではないとまでは思いません。

問題は再任拒否の過程が透明性を欠いたり、ご本人に争う手段が残されているかどうかというプロセスの問題であるように思います。実際はこのあたりに批判があるのかもしれませんが。
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by neon98 | 2005-12-22 05:31 | LEGAL(General)

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