2006年 01月 13日 ( 1 )

内部統制懐疑論(1)
単に私がお馬鹿なのかもしれませんが、文献を読めば読むほどわからなくなる内部統制論であります。やれと言われたからどうやってやればいいか検討しましょうねという作業をされている方はたくさんいらっしゃると思いますし、そのような作業であれば私もやっていこうと思うのですが、そもそも内部統制が従来の会計監査+コンプライアンスとどう違うのかとなると答えがわかりません。

アメリカ流のガバナンスを輸入するだけというスタンスがすごく嫌いな私としては、どうせやらないといけないのであれば「有意義なものであり、効率的な設計が可能である」と信じて取り組みたいところです。「内部統制」という用語には、「コンプライアンス」「システム監査」などと同じような商売っ気を感じてあまり好きになれないのです。

色々と考えてもない頭ではわかりませんので、一度懐疑論を展開して、間違っていることをご指摘いただこうという趣旨で内部統制懐疑論を展開していこうと思います。私が内部統制は有益だと信じたいためのプロセスですので、私がいつの日か、クライアントに「内部統制をもっと充実しないとえらいことになりますよ。」と口にしていても、二枚舌などと批判しないでください^^。また、おおいなる勘違いがたくさんあると思いますので、ご指摘歓迎いたします。

1. 会計監査の観点から

会計監査の一環として、例えば在庫の管理方法をクライアントに聞き、一部の在庫をピックアップして棚卸作業に立会い、これでOKですよ、という作業は従来から当然になされていることと思います。これを超えて統制システムそのものを評価するということは何を意味するのでしょうか。企業内部の監査の仕組み(ITシステムにとどまらず、仕組み全体)を評価するということであれば、決算そのものに特段問題がなくても、プロセスが不適当な場合には統制システムが不適切であると評価しないといけないことになります。そもそもそんなことってできるのでしょうか?

アメリカで、実際に内部統制にmaterial weaknessが存在していたと公表した企業のリリースをみると、不適切な会計手法が具体的に指摘されているものばかりです(そうでないものがあるのかもしれませんが)。例えば、ある合併取引の差益計上について誤った会計手法を採用しており、material weaknessが存在したという具合の公表です。誤った結果を先に発見し、それに伴う原因を公表するというプロセスであれば、あえてこれを内部統制と言う必要はないし、会計監査と別個に扱う必要はないと思います。

仕組みを評価するということでは、システム監査と類似するものになるのでしょうか。企業内部での内部監査体制については企業ごとにマチマチの対応をしているところを、独立した第三者を入れていればそれでOKなどという一義的な対応を促したりしないでしょうか。アメリカ式の独立性万歳みたいな議論はあまり好きになれないところでして、それぞれの業態に合致した内部監査体制を許すだけの余地は残してほしいものです。

2. コンプライアンスの観点から

これも法令遵守を社内に徹底することとどう違うのでしょうか。コンプライアンスに加え、敢えて内部統制という以上は法令遵守を徹底するシステムそのものに評価が加えられるのだと思います。チェックする人間を一人増やした、第三者を介在させた、チェックプロセスを変えた、インハウスロイヤーを雇用した、そういう外形的な部分での対応が迫られるのでしょう。なかなか法令遵守が徹底されないから「内部統制」という呼び方をするーきっと新しい概念を打ち出した方が全社的に対応するだろうー思惑ならば理解しやすいのですが、そういう元も子もない理解をするわけにはいかないところです。

3. プロセス評価の弊害

内部統制論の重要性はプロセス評価にあると理解しています。取締役の監視義務の一内容として、粉飾決算や違法行為を防止するための体制整備をする必要性までは導けると思うのですが、内部統制と取締役の権利義務との関係は未だよくわかりません。

いずれにせよ、プロセスそのものを評価していくということなので、内部統制の結果はプロセス中立的ではありえません。企業の規模や業務内容などに応じて異なる体制が許容されるとは思いますが、プロセスとしては一定のもの(独立性・専門性・迅速性等)を志向しているはずです。内部統制部というものを新たに設置し、そのトップに弁護士や会計士をおいたらOKみたいな発想になるのも理解できるところですが、それだとなんだかつまらないなあと思うわけです。

会計監査・法令遵守を充実させようという取り組みにはむろん何の異論もないわけですが、内部統制はこれと何が違うのか、プロセスを評価するということが果たして可能なのか、弊害がどのようにあらわれるのか、などと考えているところでして、たぶん次回もこの続きということになると思います。
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by neon98 | 2006-01-13 06:03 | Corporate Governance

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