2006年 01月 20日 ( 4 )

証券取引法の推薦書
eonumaさんから初心者向けの証券取引法の推薦書を紹介してほしいというご依頼がありました。
初心者にとって、最初のつかみとして(余りに細かい条文に立ち入る前に)、お勧めの本があればご推薦いただきたいです。証券取引法読本 有斐閣 河本一郎、あるいは、アメリカ証券取引法 アメリカ法ベーシックス 黒沼悦郎など、どうでしょうか?
日本の法律書は定義・趣旨・条文・学説の説明が中心に少し判例が紹介されているものが中心で、ケースブックのようなものが少ないので選択がやや難しい面があります。可能であれば背景にある問題点・立法趣旨なども一緒にとらえて根幹にある制度趣旨だけを大枠としてとらえたいところです。例えば、公開買付規制からすると(1)適用範囲の大枠の説明(2)制度趣旨(3)批判や比較法制(4)TostNetの扱いなどをざくっと説明し、特別関係者の定義などは問題になったときに条文を必死で読めばいいのだから思い切って削るとか注に落とすとか、有価証券届出書の提出義務の有無なども細かいところは削るとかの配慮があってもいいと思うのですが、ピッタリと思うほどの本は私は知りません。

とりあえず思いつく初心者向けの本をあげておきます。ここにはわりと証券取引法にも詳しい方々がいらっしゃるので、(1)初心者向け(2)読み物的なもの(3)大枠をとらえるのに有用なものくらいの指定でどなたかが教えてくださるかもしれません(なんて他人にふったりして^^)。

1. 日本法
近藤光男ほか『証券取引法入門』(商事法務)が制度趣旨などを重視していてお気に入りなのですが、やや古いのは気になります。
河本 一郎ほか『証券取引法読本』(有斐閣)もかなりお薦めです。近藤先生の本と比較して気に入った方を手に取られるのが無難かと思います。
堀口亘『ハンドブック証券取引法』(勁草書房)も候補の一つではあります。私自身はすごい好きな本ではないですが、まあお好みで。

2. 米国法
黒沼悦郎『アメリカ証券取引法 アメリカ法ベーシックス』(弘文堂)が一番でしょうね。代替案として、デービッド・L. ラトナーほか著(神崎克郎ほか訳)『最新 米国証券規制法概説』(商事法務)もわりと好きです。これも好みがあるでしょうが、翻訳本は基本的に読みにくさで難点があるかもしれません。

とりあえず私の好みであげておきましたが、ひょっとしたらビジネス本の分類でもう少しピッタリの本があるかもしれませんし、色々と手にとられて確認してください。ご参考まで。
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by neon98 | 2006-01-20 13:49 | 読書・映画等

今日ツボにはまったもの
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by neon98 | 2006-01-20 12:27 | Photo

Securities Regulation履修の薦め
証券取引法といえば、法律実務家ですら頭を抱える難解な条文の集合体なわけで、業務で必要な場合に仕方がなく条文と注釈とを並べてうーんと唸るだけであまり好きな分野ではなかったのですが、それにもかかわらず、LLMで履修選択してよかったなあと思うのがSecurities Regulationです。比較法的視野を持つことにより日本法をよりよく理解できるようになるというのはほぼ全ての法分野についていえることなのですが、証券取引法の場合は米国法との類似性が強いためにこのことはさらにいえるでしょう。

とはいえ、米国証券法もすさまじい数の条文の集合体であることに代わりはなく、「私募」とは・・・、「証券」とは・・・なんて感じで教えていたら、すぐに飽きちゃったに違いありません。こちらのロースクールに来ていいなあと思った教え方が機能を中心として教える方法です。具体的にいうと、
(1)投資家間の情報の格差がどのような問題を引き起こすのか、それは経済的に評価してどうなのか。
(2)アナリストはどのような業務を行い、利益相反と言われる問題は何なのか。Regulation FDはそれにどのように対処しているのか。
(3)インサイダー取引はそもそも悪いことなのか。判例はどのように変遷してきたのか。
(4)公募の際に引受証券会社、会計士、弁護士の果たす役割は何か。
(5)情報開示のコストは何か。
等の問題を現実の事例を敷衍しながら判例・条文を確認していくと、非常に面白いですし、ようやく難解な日本の証券取引法の条項の趣旨なりが理解できてくるわけです。

証券取引法は司法試験受験科目ではもちろんありませんでしたし、法学部で選択することもなかった私としては、OJTで勉強するほかなかったわけですが、体系的・機能的・有機的に証券取引法を理解するには米国法を通じて学ぶ方法が非常に有益でした。極めて実務的にFilingの中身だけをどんどん見ていくという講義もあるようですので、全ての講義で大きな視座を与えてくれるわけではないと思いますし、根本的には教授との愛称だと思いますが、個人的にはLLMで一番履修選択してよかったなあと思える科目の一つではあります。

でも日本に帰国しても証券取引法ロイヤーにはならないだろうし、なれないと思いますが・・・。
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by neon98 | 2006-01-20 06:13 | Law School

教養のありかた
立花隆の東大生はバカになったか―知的亡国論+現代教養論という本を読み終えた。一部東大を他大学と比較して論述する箇所はあるものの、基本的には全ての大学に共通するものである。(1)あの東大ですら問題があるという論理、(2)ショッキングなタイトル、(3)立花隆が個人的に東大で教えた経験から東大が選択されただけで、東大のみを批判することが目的とは思われない。東大関係者にはカチンと来る記載があるやもしれないが、一読を薦めたい。

筆者の主張は、最近の大学生の基礎学力の低下を契機として考えた教養重視の教育改革論なので、我が身に照らして素直に共感する部分と、「最近の若者は・・・」という年寄りの愚痴と思える部分と両方あるのだが、実際教養の必要性というのは常々感じるところである(当たり前か)。

大学の教養課程で例えば文学を選択すると正岡子規の一生について延々と講義を続けられ、何が面白いものだと当時は思ったから出席しなかったし、今でも絶対に出席しないだろうけれど、役に立つかどうかということではなく、勉強すること自体はいいことというものはあるものだ。

実学と理学(知識学)という分類では法学は実学に入れられてしまうのだが、広く法学という場合に実学というよりは理学に近いものも含まれている。例えば、「国際法は法か」という多分に理念的な思索は一銭の役にも立たないけれど、それを考えることで体系的な知識が身についたりすることもあるだろう。また、物理学・地質学・化学・生物学・医学・・・あらゆる絡みで法律問題が発生することは当然であり、専門知識とまでは言わなくてもお客さんの話す用語くらいはわからないと困る場合も多い。仕事を離れても、特に留学に来てからは自分の国のことを、会話相手の国の事情と比較しながら説明したりする機会が多く、教養の無さを実感することも多い。

何だって勉強する以上は面白いと思ってやった方がいいし、わかるようになれば面白いものなのだろう。教養なんてものは人がどのように生きてきたかを示すもので、一朝一夕で身につくものではないのだから、何が役立つとかあまり考えずに面白いと思うことは楽しんで勉強すればいいのではないかと思うようになった(とはいえ、本を読む時間は有限なのである程度選択はせざるを得ないのだが。)。

ただ、教養があるとかないとかいう表現は多分に主観的である。それゆえ、違う世代の方から受ける無教養との謗りは敢えて反論はせず、話半分に聞き捨てることにしている。彼らにとって教養だと思われるものと、我々の世代にとって教養とされるものは当然違うのであり、彼らの思うところの教養スタンダードを充足することは私にとっての課題にはならないのだ。なお、この本では日本の大学と欧州の大学の歴史がすごくわかりやすく(多分にわかりやすすぎる点は問題なのだが)説明がされているので、大学の歴史紹介として読んでもいいと思う。立花隆という人は強引な論理展開に若干抵抗があって、あまり好きになれなかったのだけれど、この本はあまり抵抗なく読めた。
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by neon98 | 2006-01-20 04:48 | 読書・映画等

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