2006年 06月 24日 ( 1 )

アメリカの内なる文化戦争
近藤健『アメリカの内なる文化戦争ーなぜブッシュは再選されたか』(日本評論社)。2004年アメリカ大統領選挙は、オハイオで選挙人を獲得したブッシュ陣営が勝利した。当時の雰囲気からいうと「ブッシュを支持するか、ケリーを支持するか」ではなく、「ブッシュ支持か、反ブッシュか」であってケリー候補そのものがもう一つリーダーとしての魅力に欠けると言われた。そもそも論においては、好景気下において現職大統領に勝つということは至難の技である。しかし、おそらく多くの留学生が住んでいる地域は都市部・東海岸OR西海岸における民主党が基盤とする地域であり、教授や学生の「ブッシュ嫌い度」からするとなぜブッシュが再選されたのかがどうにも私には理解できなかった。

共和党と宗教右派・ネオコンと呼ばれる階層とのつながりというのは当時日本でもよく報道されており、有名な話ではある。現在の両党の文化的支持基盤および地域基盤というものを考えるにつれ、建国当時から共和党は南部に、民主党は北部に、比較的強い基盤を有していたものだと思い込んでいたのだが、アメリカ憲法史なるものの書物を読むにつれその大前提が間違っていることに気がついた。私が知りたいと思ったのは、ニューディール時代以降万年野党であった共和党が与党となっていく過程と、民主党が南部での支持基盤を失っていく過程であり、今まで読んだどの本もこの点を分析したものはなかったが、この本は私の疑問に応えてくれる貴重な本である。

妊娠中絶・同性愛・人胚性幹細胞研究に対する「道徳的価値」に対する相対性(他者の価値観に対する寛容性と言い換えてもよい)が選挙の争点になる先進国は珍しく、ある意味ではイスラム教的価値観の国との対立軸といえるアメリカは非常に面白い存在である。連邦最高裁の微妙なバランスが崩れ、「文化戦争」なるものがどのような結末を迎えていくのかは今後の課題であるが、その背景として是非一読しておくべき本であるように思われた。
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by neon98 | 2006-06-24 14:19 | 読書・映画等

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