カテゴリ:読書・映画等( 27 )

決定版 ハーバード流“NO”と言わせない交渉術
僕はビジネスのハウツー本をほとんど読まない。馬鹿な上司の扱い方とか、若い部下の扱い方とか、成功する方法とか、キャッチーなタイトルだけで馬鹿馬鹿しくなって手に取る気もしない。日本に居たときからこの本の存在は知っていたが、「ハーバード流ってつければ何でも売れると思っているのか」くらいにしか思っていなかった。

決定版 ハーバード流“NO”と言わせない交渉術をふと手にとってみた。読み始めると意外と面白く、一気に読みきってしまった。訳者がビジネスのハウツー本と一緒にしないでほしいと言うとおり、十分内容のある本だと思う。

職業柄、交渉ごとは日常的に行うし、交渉のスタイルは色んな人から吸収してきたつもりだ。書面でするのか、電話でするのか、直接会うのか、相手のカルチャーはどうか、最初にどういう言い方をするか、相手の怒り具合はどうか、それぞれのニーズは何か、などと考えて行動する癖は当然ついている。他人の交渉スタイルのうち、いいものは吸収しようと努力してきたつもりだ。

ある時、ある尊敬する人に言われたことは、「やりすぎるな。完全勝利は必ずしも交渉ごとにおいて成功ではない。相手の社内での立場も考え、自尊心も考えて行動しろ。人間は感情の生き物だからメンツも立ててあげなきゃ物事は前に進まない。」ということ。もちろん、クライアントの最大の利益のために交渉をするのが仕事なのでタフに交渉はしないといけないが、物事を前に進めるための工夫をしろ、ということをよく言われた。弁護士の仕事として、交渉ごとを有利に押し切ることも大切だけど、交渉がデットロックに陥ったときにお互いのニーズを考えて、前に進むための代替案を考えてあげることはもっと大切だと思う。

自分が交渉力のある立場にいればあらゆることはやりたい放題で代理人としても気持ちがいいものだが、反対側にたって言いたい放題言われるのは実に悔しいものだ。言うことをほとんどのまざるをえない力関係で仕事をしないといけない場合も実に多い。この本は交渉力のない側にたった場合に、交渉を決裂させずに前に進めるのかというノウハウを整理している。特に交渉ごとを職業にしない人であっても、上司・部下・家族との人間関係をいかにスムーズに進めるのかという意味でも有益な本だと思う。
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by neon98 | 2005-10-07 03:21 | 読書・映画等

カリスマ経営者と組織のあり方
ビジョナリーカンパニーをようやく入手して読んでいる。中でも気になったのはカリスマ経営者は長期的な組織の反映のためには必要ないんじゃないかという推論。もちろん優秀な経営者がいなければいい会社はうまれてこない。しかし、長期的な企業の繁栄のために必要なのはすぐれた製品のアイデアやカリスマ経営者ではなく、優れた組織なのではないか。というのが本の内容の一部。

わかりやすい例としてウォルマートの例をあげてみよう。同社の経営者が優れたカリスマ経営者であることは間違いないが、他社にもユニークなカリスマ経営者はいる。他者と比較してウォルマートの経営者が優れていたとする点は「自ら発展し、変化する組織をつくることに力を注いだ点」だ。例えば、部門責任者に裁量と責任を与え、いいアイデアを出した従業員には奨励金を出して表彰し、従業員それぞれが刺激を持って働ける職場を作ることに努力した。これと比較される他社は、「どんな変更でも上から命じ、店長の行動をマニュアルでことこまかに指示し、自主性を発揮する余地を残さなかった」。

ウォルマートの経営者が退任するとき、彼は「ウォルマートの社員が道をひらいていくだろう」「当社の社員は活気に満ちあふれている」と述べたのに対して、他社は「真の答えであり、ただひとつの問題は、市場シェアだ」と述べたそうだ。
その後、ウォルマートは(ご存じのように)その経営者が退任した後も成長しつづけ、対する他社は市場シェア拡大のための急激な拡張策でつまづいた。

一人の天才がひらめいたアイデアや製品がすばらしいのは言うまでもないが、本当に優れた経営者の「製品」は商品ではなく、企業そのものだというのが著者の意見。一人のカリスマ経営者により経営される企業は彼の存在する間は繁栄するかもしれないが、その後成長を継続するとは限らない。大切なのは皆が働き甲斐のある組織を作るために全力を注ぐべきだということになる。

なるほどと思わされた。まだ最後まで読み終えていないので、意見を書くことは差し控えるが、組織のありかたとして読んでみて面白い一冊だ。特に企業の管理職に限らずとも一読に値する一冊だと思う。かなり有名な本なので、既にお読みの方も多いと思うがまだ読まれてなければ是非どうぞ。
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by neon98 | 2005-10-01 12:43 | 読書・映画等

本は買って読め、家は借りて住め
「本は買って読め、家は借りて住め」と確か灰谷健次郎が「太陽の子」で書いていた(随分前に読んだきりなのでちがっていたらごめんなさい。)。彼がどういう理由でこの言葉を書いたのかは全く記憶にないのだが、少なくとも本についてはその通りだと思う。

家についてはあまり強いポリシーはなく、安くていい家があるなら別に買ったっていいと思う。引っ越してほかに住みたくなったら人に貸すか、売ってしまえばいい。まあ、家はあまり興味がないというか、金がないというか、ここでの話には全く関係がないので、無視しておく。

上手に図書館などを利用できる人を僕は尊敬しているけど、この点僕は全く駄目だ。自分の金を投資しないことにはまじめに読まない。また借りればいいやと思い、読まずに返してしまったりする。投資するということは読書のための強制力として働くので、特に勉強のための読書の場合には必ず購入することにしている。貧乏症の僕にとって、自分で買った本を読まないということは敗北に等しい。買ったはいいものの途中で挫折してしまった本が5冊も溜まってくるとどうにも苦しくなって、なんとか読み終えてしまうまでがんばることになる。うちの嫁さんなどは苦しいくらいの本なら読まなきゃいいのにと合理的なことを仰せられるが、そういうことではないのだ。金を投資した以上は最後までやり切るというスタンスの問題だと言い張るのだが、どうも嫁さんのいうことに合理性があるような気がしないでもない。

いい本が本棚に並ぶということは僕の所有欲を充足させる。もう一度読みたい本はずっと本棚に並べられるし、読んで面白かったけどもう読まないだろうという本は他人にあげてしまう。全く面白くなかった本はこれまた他人にあげるか、古本屋にいくか、リサイクルにまわされることになる。

専門書については、有用な本はたとえ事務所にあっても個人用に購入しておく。個人用書物だと色々と書き込みができるし、手元にあるということで安心できる。色をつけたり、線をひいたりしないとなかなか頭に入らないのは悪い癖だけど、まあ実際そうなのだからしょうがない。

仕事なんてどこに情報があるかを常に頭の中で整理しておけば半分終わったも同然というのが僕の持論で、継続購入している法律雑誌の記事のうち必要なものをどんどんコピーして資料ファイルにとじこんでしまう(僕が買った本のコピーを僕が一部保管するだけなのだから、著作権法第30条(私的使用のための複製)で許された行為です。念のため。)。その時点でじっくり読んだとしてもどうせ忘れるんだからその場では斜め読みしておく程度だ。専門書は高いから本の選択には時間をかけるけど、各法律分野について必ずひとつは自分の周辺に保管し、何がどこに書いてあるか程度は把握しておくことが必要だと思っている。アソシエイトであろうが最終的には自分の実力だけで食べていかないといけない世界なのだからどんどん自腹を切って自分に投資をしていくべきだ。

インターネットやCD/DVDでの検索はもはや業務にはかかせないのだけど、いかにインターネットやCD/DVDでの法律・判例・文献調査システムが進化しても、関係のある情報を同時に引き出せて漏れがないという点では書物に勝るものはない。検索ワードを少し変えただけで欲しい情報が出てきたり、出てこなかったりというのではやはり不安で、判例を次から次へたどっていくことも必要だと思っている。

僕たちの仕事は、書籍、インターネット、人脈や過去の経験、あらゆるものを総合した情報を売っているに等しいのだから、常に必要な情報にアクセスできるだけの体制はいつも整えておくべきだ。と偉そうなことを書きつつ、留学期間中日本での情報を仕入れることを何もしてこなかったせいで、日本での情報についてはすっかり浦島太郎状態だから、これは何とかしないといけない。
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by neon98 | 2005-09-23 06:06 | 読書・映画等

Undergroundを読んで
NJのミツワまで来た際に近くに日本の古本屋を発見。文庫本一冊4ドルとアメリカにしては悪くない値段設定だったうえ、5冊購入で6冊目無料という特典付だったので、即購入。洋書を読むことは可能だけど、小説を無理なく読めるほどボキャブラリーは充実していないし、恥ずかしながら英語の本をリラックスした状態ではとても読むことはできない。貴重な古本屋を発見したので、大満足。

早速、村上春樹「アンダーグラウンド」(講談社文庫)を読む。地下鉄サリン事件の被害者のインタビューを題材にしたノンフィクションであり、当時の悲惨な状況が生々しい。一部の被害者が地下鉄の中でサリンで息苦しくなっても皆ほとんどしゃべらず、黙って違う車両に移る人のほかは沈黙したまま我慢していたけど、アメリカだったら皆が騒ぎ出してもっと早く窓を開放していたのじゃないかと語っていた。電車、バス、エレベータの中では静かにするという文化的背景が特に日本では強く、そのことが被害を強くしたのかもしれない。知らない人同士の距離感が日本とアメリカでは随分異なるということを改めて感じさせられた気がする。

震災のような目に見える災害(皆が皆災害が発生したことは認識して行動していた)とは異なり、それぞれが地下鉄で毒ガスがまかれることは予想していなかった事件がゆえの事情もあるだろう。

日本の安全神話が既に崩壊してきている現在、自分たちの身を守るための教育というものが会社、学校などでもっと取り入れられてもいいのかもしれない。
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by neon98 | 2005-09-13 09:50 | 読書・映画等

深い河
「深い河」遠藤周作(講談社文庫)を再度読み直す。彼の作品の背景にあるキリスト教的背景を押し付けず、全ての宗教の背景にあるであろう人間に対する「愛」をテーマにした作品として非常に面白い。

僕も、特定の宗教に真摯に帰依することなく、あらゆる宗教に基づいた行事を楽しむ典型的な日本人である。人智を超越した何かが存在することの可能性までは否定はしないが、今後も特定の宗教を真面目に信じることはないであろう。

だからといって、宗教倫理に相当する価値観がないかというと、そんなことはない。キリスト教的価値観を掲げながら、倫理を超越した行動をとりがちな某国の人よりもより倫理的だし、人間を大切にした行動をとろうとは心がけている。特定の宗教を信仰するか否かにかかわらず、肉親や親しい人の死の場面を皆みてきたはずで、生死の関わる局面で人の行動原理たるものが何かというものは文化として受け継がれているのではないか、そう思う。
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by neon98 | 2005-09-06 13:34 | 読書・映画等

一年目アソシエイトの生活
Proceed With Caution: A Diary of the First Year at One of America's Largest, Most Prestigious Law Firmsを読む。

特に驚くほどのことはない。一年目だったら、普通みんなそれくらい働くだろうと思わないでもなかった。過剰労働がいいこととは思わないけれど、特に最初の方は何もわからないまま仕事をしていて効率が悪い以上は仕方がない。最初に手を抜くことを覚えてしまうとどうしようもないので、我慢して働こうといいたい。

ざっと斜め読みしたけど、特にたいしたことは書いてなかった。アメリカ人には衝撃なんだろうか、この本は?良くも悪くも過酷な労働条件に慣れてしまった後だと、あーそう、という感じだし、他に目新しいことはなし。
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by neon98 | 2005-06-15 04:56 | 読書・映画等

ブッシュ/世界を壊した権力の真実
ブッシュ/世界を壊した権力の真実を読む。9/11以降行われた初の大統領選挙を身近に体験した者としては、アメリカの変化を叙述(やや根拠に欠けると思われる点もないではないが。)したこの本は面白く読めた。

カレル・ヴァン・ウォルフレンの作品ははまると面白いが、主張に違和感を持つと途中で挫折してしまう(と私は思う)。彼の他の作品(名前は忘れたが。)では、意見に同意できず、乱暴な論理に耐えずに読むのをやめてしまった。紙幅との関係もあろうが、具体的根拠をもっと引用して説得性を持たせるべきとはいえるかもしれない(例えば、マスメディアの性質が合併等により変わったというのなら、もう少し具体的に根拠を引いたほうがいいだろう。)。

まあその点はさしひいて、素直に(批判的に読もうとするとつっこみがいが多いので)読めば理解できる主張も多い。9/11がアメリカ人に与えた影響ということについては、今度直接アメリカ人に聞いてみようと思う。人種・地域等により相当意識差があるかもしれない。
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by neon98 | 2005-05-25 06:41 | 読書・映画等

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