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実践的な法律学?
ホームズ裁判官は「一般的命題は具体的な事件を解決しない」と述べたそうである。私も実務家としての特性からか、哲学的というか、抽象的にすぎる議論は苦手である。例えば、法人実在説、法人擬制説と言われればむろん学説の名称と簡潔な説明程度は可能だが、学説自体からアプリオリに導かれる結論は存在しない以上、それ以上深く内容を追及しようとは思わない。どちらかというと、先日のラブホテルの実証研究の方が興味深く読めるし、少なくとも立法政策論として機能しうるだけに実践的である。

実務家としてのそもそもの発想の根源は「具体的事件の最も有効な解決方法とその手段は何か」という命題であって、法律学という学問自体にはあまり興味がない。法律が好きかと言われると、嫌いではないけれど法律学そのものにはあまり興味がなく、法律というツールを使って具体的事件を解決する知的作業には興味があるとしか答えようがない。

法学部に初めて入ったときに私は法律に対して難解・形式的といったイメージしか有しておらず、司法試験を受験するために仕方がなく入ったものの、法学が面白くなくてどうしようか悩んでいた。そんな時、ある教授はこう言った。
法律なんてものを難しく考えちゃいけない。これは道具なんですよ。皆さんが幸せに暮らすための道具にすぎない。だから、法解釈も皆さんが幸せに暮らすことができるように解釈すべきなんです。
実務と学問は乖離しているものだと思い込んでいただけに、学者サイドから出たこの発言は目から鱗だった。法学初心者の段階で、学者にせよ、実務家にせよ、法律学の究極的な目的は「皆さんが幸せに暮らすこと」なんだと意識できたのは大きかった(むろん幸せなんてものはそれ自体定義のない多義的な用語なのだけれど。)。法律学において結論の妥当性以上に重要なものは存在しないというのはそれ以来私の信念である。むろん、結論の妥当性というのは個別具体的な事件の解決以外に、当該解釈が社会全体に与える影響も含まれる。この教授は、講義において、ある法理論が具体的背景においてどう利用されてきたのか、歴史的背景も含めて丁寧に教えてくれた。彼の講義もすばらしかったのだが、彼はこの一言を新入生に伝えるために存在しているのだと、私は今でも信じている。

そんなプラクティカルな人間が現在読んでいる本が何故かこれである。『現代アメリカ法の変更』モートン・J・ホーウィッツ・樋口範雄訳(弘文堂)。渡米前にある方から頂いた。一文の得にもならないと言われればそれまでである。せっかく頂いたから読んでみようという以上の考えはなかったのだけど、読んでみるとなかなか読みごたえがある。翻訳の日本語が必然的に難解であるに加え、米国史の基礎知識も要求され、非常に難しいのだけれど、探してみれば実践的な価値もあるように思えてきた(読み終えられるように実践的で役に立つと思い込もうとしているのかもしれないけれど。)。

契約の修正原理、因果関係論、法人理論のいずれにしても、ある特定の時代背景を基礎として、ある特定の効果を狙って主張されてきた理論なのであり、異なる時代背景・文化背景のもとでは適切ではないかもしれない。その意味では、ある特定の法原則を時代背景と一緒にみていくことはその本質的な理解のために不可欠である。

もう一つの理由は、ツールとしてではあれ、一生お付き合いしていくであろう法律のことである。せっかくだから実践的でなくとも学問として好きになってあげてもいいではないか。理論そのものとして好きになれた方が興味が長続きするし、ずっと仕事が好きでいられるかもしれない。そう思ったからかもしれない。

実際、何かの理論を歴史の流れの中でとらえるという作業は好きだ。ケインズは、不況下での失業問題を解決しようとして財政政策による政府介入という経済モデルを考えだしたが、彼が違う時代に生まれていたら異なる経済モデルを考え出したに違いない。ある時代とある環境にあることによってはじめて有効とされる理論だってあるはずだから、歴史のつながりの中での有機的な理解は有益なはずだ。そう思ってようやく第3章まで読み終えたところだ。目次は以下のとおり。面白そうでしょ?さすがにご紹介する程度にまで理解できる自信もないので、本のご紹介にとどまると思います。

序章
第1章 古典的法思想の構造
第2章 契約自由と客観的因果関係に対する革新的法思想からの批判
第3章 サンタ・クララ判決再考―法人理論の発展
第4章 アメリカ法におけるホームズ裁判官の地位
第5章 財産権概念の革新的変容
第6章 リーガル・リアリズムとは何か?
第7章 リーガル・リアリズムの遺産
第8章 リーガル・リアリズム、官僚的国家および法の支配
第9章 第二次大戦後の法思想
終章
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by neon98 | 2005-12-07 12:36 | よしなしごと

Rat & Labor Union
自宅から職場に向かう途中、こんなものを見かけた。というよりも随分前から気になっていたものをようやく写真に撮った。まずは背後から。
「店を襲撃するRatさん」
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次は正面から。

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写真を撮っていたら、車の中からAfrican Americanの男性が降りてきて不審そうに「何やってんだ。」と聞いてきた。「珍しいので写真撮ってるんだ。これは何のためにやってるんだ。」と聞き返すと、「こいつらはUnionに加入していない業者を使って工事してやがるから、これで抗議してるんだ。いいか。俺たちはこの国のためにやってるんだ。決して私利私欲のためにやってるんじゃねえ。お前、邪魔しにきたんじゃないだろうな。」(概ねこんな感じ)とすごんできた。

単なる一時滞在者で観光客みたいなものであることを説明し、アメリカの文化を説明するのに友達に見せたいだけだというと、「使用者側の人間じゃなきゃ、好きに写真撮ってくれ。いいか、友達にも俺たちが国のためにやっているんだと伝えとけ。」といって去っていった。ですので、伝えておきます。彼らは国のためにやっているんだそうです(^^)。

Me and the Ratというサイトによれば、RatはUnionに加入しない建設業者の別称で、この巨大なRatの風船は未加入業者を使った建設現場前に抗議のためにおかれるんだそうだ。そういえば、このRat、一ヶ月以上前からここにあるなあ。どこの国にも似たようなことがあるもんだと思いながら、Ratをおいているあたりがかわいらしいと感心してしまった。

もう少し調べてみると、このRatはEndangered Speciesに指定されているらしい(workforce.comabc.orgを参照)。違法なピケ行為とされた判断が下され、UnionがAppealしているところのようだ。ここから先が面白いので、原文のままどうぞ。
Even if the rat is exterminated, however, there are other animals that unions can turn to, says Lowell Peterson, an attorney at New York-based Meyer, Suozzi, English & Klein who is representing the Laborers Eastern Region Organizing Fund. Already some unions have started using skunk and cockroach balloons, he says. “There are plenty of other animals.” (リンクしたWorkforce.comの記事末尾より引用)
NYに滞在している間に、スカンクやゴキブリを発見したらBlogにアップします。NYに滞在しておられる皆さん、スカンクやゴキブリの登場シーンを見かけたら写真を撮って送ってください(^^)。
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by neon98 | 2005-12-07 06:05 | 日常・海外生活

Blogにサブタイトル追加
LLM留学日誌と題しながら、LLMネタがあまりない現状を踏まえ、サブタイトルを追加。LLM中はとてもBlogなど書いている余裕も見ている余裕もなかったので、LLM関係のネタは回想記になってしまっている。日誌とするのもどうかと思ったけど、もう慣れてきたので変更するのにも抵抗を覚え、こんな感じでお茶を濁す。

新日本無線の取締役会意見がミスリーディングだと批判しつつ、一番ミスリーディングなのはお前のBlogのタイトルやろと言われると反論の余地がない。。。2年目NYと追加することである程度理解してもらえるやろか。。。
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by neon98 | 2005-12-06 14:41 | よしなしごと

最近見た映画など
このお気楽2年目研修生活をどう過ごすか。借金をしてでも旅行をし、遊べという人。せっかくだから実務に役立つ勉強をし、論文を書けという人。英語のスキルをとにかく磨けという人。二度とない家族とゆっくり過ごす機会だからゆっくりしろという人。無駄な時間だから早く日本へ帰国して実務をしろという人。色んな意見があり、どれももっともだけど、僕は少し違う過ごし方をしようと思っている。実務に役に立とうが立つまいがそんなことは関係なく、自分の人生の足腰強化プログラムを実行すること。あまり短期的な視点では正当化できないことも、人生を豊かにするのであればそれでいいのではないか。そう考え、法思想史、アメリカ選挙制度、マクロ・ミクロ経済学、歴史小説、料理本、映画評論などありとあらゆる本を貪るように読んでいっている。論文をのぞき、いずれも日本語である。予算の都合上、ほとんどが古本屋での入手であるのが難点。仕事をはじめてからほとんど見られなかった映画もDVDを借りて見るようになった。

昨日見たのは、Hotel Rwanda。これは英語で見た。アマゾンで検索したが、日本語でのDVDはまだ見当たらないようだ。説明は割愛するが、日本語が出てからでいいのでまだ見られていない方は是非見て欲しい。久しぶりに涙がとまらなかった。レビューで全員が5つ星をつけている映画もさほど多くないだろう。

先週末見たのが、ハッシュ!。邦画なので当然日本語でみた。ゲイの男性2人と子供がほしい女性1人の生活を描く。沢木耕太郎による評価を引用する。
男二人に女ひとり。多くの映画で採用されたこの関係は、一方の男と女の間に恋愛感情が生まれることで崩壊する。だが、『ハッシュ!』の三人には、男女間に性的な緊張が走ることはないという前提によって、稀に見る優しい関係が築かれている。あるいは、見ているうちに、この三人の緩やかな共同体が、不思議な理想郷のように思えてきて、人は驚くかもしれない。
『シネマと書店とスタジアム』沢木耕太郎(新潮文庫)より。この本も、紹介されている映画がマニアックすぎず、はずれが少ないという意味でお薦めしたい。
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by neon98 | 2005-12-06 14:27 | 読書・映画等

公開買付のIR戦略ーどう考えよう?
先週末に公開買付のIR戦略ーケーススタディというエントリをしました。回答なんてものは存在しないわけですが、問題意識めいたものを少し書いておこうと思います。

1. そもそも新日本無線取締役会は意見表明をする必要があるのか?

取締役はその株主に対して忠実義務・善管注意義務を負い、取締役が有している情報と株主の有している情報の非対称性の問題を考慮すると取締役会の意見というものは株主が賛否を決するにあたって気になるところではあるのは間違いありません。しかし、そもそも取締役会が意見を表明する義務を負うのでしょうか。

現行法上の答えはNOです。現行制度上、対象者による意見表明は任意に行われており、対象者が意見表明を行った場合に限り、意思表明報告書の提出が要求されているにすぎません。金融審議会金融分科会第一部会公開買付制度等ワーキング・グループで現在意見表明の義務化が検討されていますが、その場合であっても意見留保の余地は認められるべきとの議論がなされているようです(論点整理・PDF)。余談ですが、意見を判断するにあたって判断材料・時間が限定されており判断しきれない場合や、微妙なケースにおいてまで必ず取締役会が賛否を判断しなければならないとするのはあまりにも酷で、義務化をするにしても留保の余地は必要不可欠と思われます。

2. 本件での意見表明の是非

個人株主は自ら公開買付の是非を判断する材料を有しないのに対し、大株主は役員派遣または議決権行使にあたっての情報提供を通じてより対象会社の情報を把握しているのが通常でしょうから、一般論としては個人株主が多い会社の方が取締役会の意見に左右される可能性が大きいように思われます(感覚的な議論にすぎません。)。今回のケースはというと、日本無線の意向のみによって、TOBの成立は決定してしまいますから、新日本無線の取締役会による意見表明は効果としては乏しいように思います。取引の成立という観点からいえば、日本無線がTOBに応募する以上は新日本無線の取締役会の意見など全く関係がないわけです。意見表明をすることは取締役らにリスクが伴いますから、必要のない意見表明などすべきではないというプラクティカルな法的助言も十分説得力を有するところだと思います。

3. なぜ新日本無線の取締役会は意見表明したのか

とはいえ、企業買収の第一線におられる先生方が考えたスキームですから、何か合理的な理由があるはずです。これを少し想像してみることにします。

(1) 少数株主に対する忠実義務・善管注意義務を果たすため?

本件の実質は既にみたように相対取引であり、売りたい日本無線と買いたい日清紡との間の株式譲渡契約が強制公開買付制度により公開買付の方法によることを余儀なくされたというのが一般的な見方だと思います。なるべく多くの株式を売却したい日本無線からすれば、他の株主はできる限り応募しないでほしいという希望を持つのがもっともだと思います。日清紡によるTOBは過去のマイナスプレミアムのTOBとは異なり、少なくとも公表時点の株価を上回る価格で提案がなされていますから、取締役会として「日本無線を含む全ての株主にとって本件TOBが満足のいく取引である」と判断したとしても不思議ではありません。取締役会として合理的にいい取引であると判断した場合、全ての株主に対して意見を公表することが一番良い方法であることは間違いなく、意見留保よりも望ましいとはいえそうです。

(2) 日本無線による応募を正当化するため?

新日本無線の株価を一番良く算定しうる新日本無線の取締役会がTOB価格に賛成したという事実は当該価格で株式を売却する日本無線の判断の合理性を担保する一材料になるはずです。

ただ、上記2点のメリットは法的リスクとの兼ね合いで検討すべきものであることは言うまでもありません。

4. MACによる対抗的TOBの後の意見表明

MACによる対抗的TOBがなされた後の新日本無線による意見表明は色々と突っ込みどころがありそうです。

(1) タイミングの問題

MACに情報収集を怠ったまま、反対意見を表明したと批判されているように新日本無線による取締役会はせめてMACからの回答書の到着を待ったうえで意見表明すべきではなかったという問題がまずあると思います。少なくともMACの方が高く、購入株式数の多い提案を出してきているわけですから、迅速な対応がよかったのかどうか。11月21日にMACがTOBを公表し、新日本無線取締役会が意見を公表したのが11月24日ですし、十分な判断材料があったといえるのかどうかは問題にされてもやむを得ないでしょう。

日清紡による(延長前)TOB期間が11月29日であり、早く意見表明をしてほしいと要請があったのかもしれませんが、そもそも意見表明をする義務がなく、意見表明によっては結果が左右されない(結果を左右するのは日本無線の決断のみ)時点での判断として妥当だったのかどうか、考えてみる必要がありそうです。

(2) 日清紡TOBへの賛成・MACTOBへの反対意見の意味するもの(ミスリーディングではないか?)

日清紡TOBの提示価格は840円、MACTOBは900円(いずれも意見表明時)で、MAC提案の方が購入株式総数が多いという事実にもかかわらず、日清紡TOBを支持するということは何を示唆するのでしょうか。

新日本無線取締役会の意見は、(1)MAC提案における上場廃止のリスク、(2)MACは短期的な投資家であり、経営の不安定要因になる、(3)日清紡TOBのメリットを考慮し、「当社の長期的・継続的な企業価値・株主共同の利益確保・向上に資する」ことをその理由にあげています。これは株主に日清紡TOBに応募することを勧めているのでしょうか。私はそのようには読めませんでした。

言うまでもなく長期的・継続的な企業価値を享受するのは売却に応じなかった株主です。TOBに応じようとする株主にとって重要なのは株価のみであり、その後の長期的利益や上場廃止など関係がありません。日本無線が商取引やビジネス戦略上の付き合いを通じて日清紡TOBに応じる選択肢をとることは合理性があるかもしれません。しかし、そのような付き合いがないその他の株主にとってより安いTOBに応じるよう勧告することは適切ではないはずです。従って、新日本無線取締役会としては、日本無線が日清紡に保有株式を売却し、その他の株主はTOBに応じないという取引を支持しているとみるのが適切ではないかと思います。日本無線は短期的利益を犠牲にできる状況にある(と主張する余地がある)のに対し、多くの少数株主はそうではないでしょうから、このように考えざるを得ないように思います。

当事者間が相対取引を想定しているとしても、法形式上は公開買付であり、公開買付に対する賛否表明である以上は、全ての株主がこれに応募するかどうかを決する判断材料であるべきでしょう。例えば、日清紡との合併議案を提案していた新日本無線がMACから対抗的TOBをかけられた事例を想定してみましょう。この場合は、新日本無線取締役会は単純にMACによる対抗的TOBに反対意見を表明し、合併議案を推薦すれば足ります。しかし、長期的価値と短期的価値とが交錯する本件で、単純に日清紡TOBを支持したことは少なくともミスリーディングであると言われてもやむを得ないように思います。新日本無線取締役会としては、日清紡TOBに対する賛成意見を撤回し、双方のTOBに意見留保するというやり方(もしくはもっと率直に日本無線以外の株主はいずれのTOBにも応じずに長期的利益を維持することを望むとか。)が望ましかったような気がします。

議論のあるところだと思いますが、長期的に見た企業価値の問題と、それが誰に帰属することになるのか、その両者を考えて意見表明をすべきといえるのではないか、こういう問題提起としてとらえていただきたいと思います。強制的公開買付制度自体に改善の必要はあると思うんですけどね。コントロールプレミアムを有している大株主が株式譲渡する場合に、そのプレミアムを全体に希釈化させる必要性は乏しいと思うんですけど。
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by neon98 | 2005-12-06 07:33 | M&A

First Show in New York City
d0042715_2140395.jpg昨日New Yorkに積もった初雪。今年は随分暖かいと聞いていた中で、ようやく到来した初雪。関西育ちで、別に雪国とは全然関係がないのだけど、雪が積もるとほっとするのはなぜだろう。何もなくて寒いよりは、雪が積もっていた方が暖かい気がするのはなぜだろう。

早速、子供と雪だるまに挑戦。アメリカのSnowmanは頭、胴体、足と三段なのだという話に沿って作成してみたものの、なんだかイビツな形だ。うーん、バランスが悪い。
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by neon98 | 2005-12-05 21:41 | 日常・海外生活

公開買付のIR戦略ーケーススタディ
MACが新日本無線に対する買付価格を900円から950円に引き上げることを発表しました(nikkei.co.jp)。新日本無線に対するTOBに関する経緯をまとめると以下のとおりです。

11月8日: 日清紡が新日本無線に対する公開買付の実施を発表(840円:PDF
11月8日: 新日本無線取締役会が公開買付に対する賛同を発表(このページからダウンロード可能
11月21日: MACが新日本無線への公開買付の実施を発表(900円:PDF
11月21日: 新日本無線取締役会が「唐突感」を表明(このページからダウンロード可能
11月24日: 新日本無線取締役会が日清紡の公開買付への賛同およびMACの公開買付への反対を発表(このページからダウンロード可能
11月24日: MAC「新日本無線の「エム・エイ・シーによる公開買付けの反対」表明について」(PDF
11月25日: 新日本無線の労組による声明(このページからダウンロード可能
11月25日: 日清紡が買付価格を880円に引き上げ(PDF
11月25日: MAC「新日本無線に対する公開買付けについての方針」(
PDF
11月29日: MAC「新日本無線への回答書・質問書等について」(PDF
12月2日: MAC「エム・エー・シーの「新日本無線からの回答書未受領について」(PDF
12月2日: MAC公開買付価格を950円に引き上げ(PDF

TOB合戦になったときのIR戦略は訴訟対策・株主勧誘という意味で極めて重要な意味を有するわけで、これらの戦略の失敗で勝負が決まることがありうる局面です。弁護士、投資銀行は、訴訟以外の局面でもどう対応していくか極めて重要な助言を迫られることになります。外から見ているだけではわからない数々の制約要因がありましょうし、何が正しいかという判断は極めて難しいものです。それを前提に今日は少しIR戦略を考えるための設問を考えてみました。

1. 新日本無線の取締役会が11月24日の時点で日清紡TOBを支持し、MACTOBに反対する意見を述べたのは取締役の行動として適切だったか。意見の内容およびタイミングについて考慮せよ。

2. 新日本無線取締役会は、一般株主(日本無線以外の株主を指す)に対してTOBに応募することを勧めているのか否か。新日本無線取締役会の意見表明は誰の利益(日本無線OR株主全体)を考慮しなければならないのかを考慮せよ。現実に企図された取引は日清紡と日本無線との間の相対取引であることと、法形式としては公開買付であることのねじれを考慮して応えよ。

3. 新日本無線から提出した質問書に対して、MACが公開の了承を求めてきた。あなたが新日本無線の法律顧問である場合に依頼者に対してどのように助言するか。2005年11月29日付MAC「新日本無線の回答書・質問書等について」を読んだうえで答えよ。

4. 上記の設問において新日本無線が公表を了解しないと回答した場合に、MAC側の法律顧問としてどのように助言するか。

5. MAC側から新日本無線取締役会は情報収集を怠っていると批判されている点について、新日本無線として何らかの反論を公開すべきか。

回答は原則としてトラックバック形式としてください。ご自身のBlogをお持ちでない方はコメント欄に頂くか、E-mailでお願いします。回答E-mailは掲載されます(回答部分とハンドルネームのみ)ので、ご注意ください。E-mailアドレスは、私のハンドルネーム(6文字)@excite.co.jpです。

なお、どなたも回答されなくとも私は寂しがりません(^^)。ので、仕事で忙しい方、試験勉強でそれどころじゃないよという方は笑ってとおりすぎてください。
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by neon98 | 2005-12-03 05:13 | M&A

画期的な発明?(続)-なんだ磯崎さんが既に書いておられた
特許公開2003-196481というのも同様。実は昨日ポイズンピルについてのWEBリサーチをしていて、たまたま偶然ひっかかったもの。いずれもまだ審査請求はされていない。

ネタとして面白いなあと思って、更に検索かけてたら磯崎さんが既にエントリを書いてました。さすがです。

ちなみに、特開2003-174800のクレームはこんな感じ。

(57)【要約】 (修正有)
【課題】会社の株主を不平等に取り扱わずに不利な買収者から保護するための装置ないし方法を提供する。
【解決手段】株主オプション・プラン、新株に関するオプション権を取得する権利、及び新株を取得するオプション権を含む少数派株主保護システム、あるいは、株主オプション・プランの作成、新株に関するオプション権を取得する権利の作成、及び新株を取得するオプション権の作成を含む少数派株主の権利を保護する方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 以下を含む少数派株主保護システム。
a)株主オプション・プラン。
b)新株に関するオプション権を取得する権利、及び、c)新株を取得するオプション権。
【請求項2】 以下を含む少数派株主の権利を保護する方法。
a)株主オプション・プランの作成。
b)新株に関するオプション権を取得する権利の作成、及び、c)新株を取得するオプション権の作成。
【請求項3】 オプション・プランの採否の投票を電子的手段により行うことを株主に対し許容することを更に構成要件として含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】 以下の構成要件より成る少数派株主の権利を保護するプランの採用方法。
a)少なくとも1名の取締役会の構成員に対して電子的手段で以下の創設の提案を行う。
i)株主オプション・プラン。
ii)新株に関するオプション権を取得する権利。
iii)新株を取得するオプション権。
【請求項5】 以下を含む少数派株主の権利を保護するプランの採用方法。
a)少なくとも1名の株主に対して電子的手段で以下の創設の提案を行う。
i)株主オプション・プラン。
ii)新株に関するオプション権を取得する権利。
iii)新株を取得するオプション権。

権利者性、新規性、ビジネスモデル特許などと色々と考えていたのですが、如何せん特に国際特許の知識は乏しく、調べるにもIP関係の本は何も持参しておらず、ましてやネタとしての「新規性」もないとあって、断念しました。特許の権利性についてのどなたかの分析、お待ちしてます(^^)。
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by neon98 | 2005-12-02 04:07 | M&A

画期的な発明?へー!おもしれー!
特許公開2003-174800および同2003-164200を特許電子図書館で検索されたい。新規性があるのか、パブリックドメインなのか。単なるNeon98の小ネタで終わるのか、上場企業を震撼させる出来事なのか?乞うご期待。続きは明日。あまり特許法詳しくないんだよね。誰か分析してくんないだろうか。
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by neon98 | 2005-12-01 12:00 | M&A

証券取引所がガバナンスを決める時代?
急に真面目にエントリを書き出したから暇なんじゃないかと思われるのがつらいですが、事実なので(^^)しょうがないか。サンクスギビング明け以降、手持ち案件の動きが止まってしまいまして、論文読んでお勉強中でございます。

前回のエントリで、証券取引所間の競争があるのだから、上場基準に関してはそれぞれの規則に委ねた方がいいのではないか旨の意見を書いてみました。証券取引法制は、証券詐欺責任、SECルールおよび各証券取引所規則まで考慮に入れますと、日米では相当差異があります。それでも、基本的な証券取引法の枠組みとしてはアメリカ法の議論が参考になるはずですので、自分自身の勉強のおさらいとして、少し基本知識を整理することにします。

1. The Securities and Exchange Commission(SEC)

SECは、1934年証券取引所法(1934年法)により設置され、連邦証券法を所管する機関です。Corporate Finance, Market Regulation, Investment Management, EnforcementなどのDivisionに分かれています。SECは、連邦議会による授権のもとで規則制定権限を持ち、証券法を執行し、ノーアクションレターなどを通じて実体法の解釈にも影響力を有しています。SECは、Rule 10b-5という証券詐欺の規則を定め、その解釈を拡張してインサイダー取引を摘発し、またアナリストの利益相反問題なども摘発し、サーベンス・オクスレー法の授権のもとでレギュレーションFD(Fair Disclosure)を制定するなど、連邦証券法の準立法機能・法執行機能を積極的に活用しています。

2. Self Regulatory Organization (SRO;自主規制機関)

National Association of Securities Dealers (NASD;全米証券業協会)や各証券取引所(NYSE含む)が自主規制を行う機関・団体として存在しています。NASDは私的な非営利の団体で、ブローカー・ディーラーをその会員としています。1934年法は、NASDはNASDAQの少数株主でもあり、規則制定を通じてブローカー・ディーラーと、店頭公開市場を規制しています。
d0042715_619460.jpgNYSEは、その規則において上場会社の要件を定めており、Corporate Governanceについても要件を定めています。これによると、上場会社は過半数の独立取締役を必要とし、独立取締役のみで構成される監査委員会・報酬委員会・指名委員会を保有しなければなりません。NASDAQにおいても細部の差異はあるものの、同様の要件が定められています。
SECは、SROの規則制定について承認権限を有し、承認がない限り規則は効力を有しないことになります。

3. なぜ証券取引所がCorporate Governanceに介入するのか

日本人の感覚だと証券取引所がCorporate Governanceに介入し、取締役会の構成まで定めてしまうことに違和感があるかもしれません。私も実際知ったときにはすごく驚きました。アメリカにはNASDAQという代替市場が存在するとはいえ、大手上場企業のほとんどはNYSEに上場しており、しかもNYSEとNASDAQがいずれも上場基準の中にCorporate Governance Requirementを組み入れたときには事実上強制力を有することになるからです。幾らSECが認可権限を有しているとはいえ、議会を通さないでCorporate Governanceに関する基本的な事項を証券取引所が定めることがいいのかという問題はたしかにあると思います。

アメリカでは会社法が州法とされており、連邦政府が画一的にCorporate Governanceについて規制をかけることは会社法の分野においては不可能です。それでもなお、議会はサーベンス・オクスレー法を同じようなタイミングで審議していたのですから、独立取締役などの要件を証券取引所規則ではなく、連邦証券法の分野に取り込むことは不可能ではなかったように思います。

規制自体が仮に妥当だとして、なぜ議会による審議を経ない証券取引所規則で規制をかけることにしたのか?これは立法過程・審議過程を見てみないとわかりません。Corporate Governanceに関する上場基準は、SECに報告され、SECを通じてパブリックコメントに付されています(例えば、これが公表されている意見の一部です。)。ざっと幾つかを斜め読みしてみたところ、基準の中身についての賛成・反対はあっても、なぜ証券取引所なのか?という観点からの意見は見当たりませんでした。法律上取引所が規則を定めることは可能なのだから反対してもしょうがないということなのかもしれないし、特段疑問に思わないのかもしれません。立法者・規則制定者の意思は不明ですので、以下は私が考えた理由です。
一部の企業に対してより厳格な企業統治機構を義務づけるとした場合に、取引所規則による方が柔軟な対応が可能であり、投資家および企業のニーズに合致する。
いくらなんでも零細企業に独立取締役やら委員会制度を強制するわけにはいきませんので、一部の大企業のみに厳格な企業統治機構を要求することになります。ただ、規模による違いを設けるとしても、超巨大なオーナー企業もあるでしょうし、投資家にアピールするよりも意思決定の迅速さを重視する企業もあるでしょう。投資家からしても、ある程度統治機構に差異があっても情報の開示さえなされていれば投資の意思決定は可能であるといえるのではないでしょうか。

例えば独立取締役の要件はNYSEとNASDAQとの間で微妙に違いがあります。新興企業が多く上場しているNASDAQにNYSE上場企業と同じ要件を課すのは新興企業に過大な負担をかけますし、投資家側としてもNASDAQ上場企業の統治機構がより「遅れている」と認識さえしておけばあとは選択の問題ということができます。巨大企業でも100%オーナー会社であれば、オーナーが一人で意思決定したっていいはずで、企業規模のみを基準として企業統治構造を区別するよりも優れた方法といえるように思います。証券取引所の自主的な意思決定(+SECの承認)にCorporate Governanceのモデルの一部を委ねることも、証券取引所がどのような段階の上場企業を惹きつけたいのかにより要求水準が異なるでしょうから、一定の合理性があるように思います。

4. 証券取引所はどう競争するのか?政府の役割は?

とはいえ、証券取引所が誰を向いて競争をするのかを考えることは重要でしょう。幾ら公益性を有するとはいえ、運営費用、システム投資費用を捻出していくために収益は必要不可欠です。収益を確保するために特定の誰かを向いて取引所が運営されないように、Race to bottomを回避するための政策は必要でしょう。また、競争なんて本当に存在するの?という競争法的観点も必要かと思います。

d0042715_7562747.jpgほとんどレッセフェールに近い主張として、Corinne Bronfman, SYMPOSIUM: MARKET 2000: The SEC’s Market 2000 Report, 19 Iowa J. Corp. L. 523という論文を見つけて読んでいたのですが、これはどうかなあと思ってしまいました。証券取引所の競争が投資家の利益になるという一般論を議会が認識し、現在の制度を設計したというあたりまではうんうんとうなづきながら読んでいたのですが、誤解を恐れずにばくっといえばSECは各証券取引所が各上場企業に対してしているのと同じように、適切な情報開示だけ促しておき、直接の規制はするなという主張をされており、賛成しがたいものがありました。具体的には、SECがNYSEに対して零細市場とリンクを強制していることは零細市場によるフリーライドを許し、NYSEの投資意欲をそぐとか、NYSEが取引情報を即時に開示させられることによりポジションを開示されたくない投資家はロンドンに逃げるとか、色々と指摘されてはいるのですが、独占市場における優越的地位の濫用の可能性や、情報を持たない小口投資家に対する公正という観点を無視しているといわざるをえず、なんだかなあと思ったわけです(これだけではわからないでしょうから、読みたい方は原文を入手してください。これ以上書きますと話がずれてまいります。)。

証券取引所が一部の会員、一部の投資家または上場企業にターゲットを絞って競争をはじめ、Race to bottomになってしまった場合は当然政府による揺り戻しが必要でしょうし、それぞれの取引所が占めている地位も考慮して競争を加速させる政策も一時的には必要かもしれません。その意味で、規則制定権に関する政府権限、立法権による対応事態は必要な手段として把握されるべきでしょう。

5. まとめ

各証券取引所の上場基準にあまり特徴が見られないことは、それぞれの証券取引所が競争している存在であると認識していなかった証左かもしれないし、政府規制によるものかもしれません。日本の証券取引所規則を全て確認したわけではありませんが、例えば大証の上場基準はほとんどそのまま東証のコピーで、数値だけが違うという状態です。敵対的買収防衛に対する厳格さなんていう部分でも独自性を出せたら、それぞれの企業の考え方により存在価値も高まるのではないかななどと関西人の私は考えてしまいました。新興市場向けの市場だと差別化を図ることはできるわけですが、東証の大阪版というだけだと、成長企業はどんどん「卒業」し、新しい企業はマザーズなど他市場にとられ、大証はジリ貧になってしまうように思います。大証の寂しいIPOデータについては、HardWaveさんのグラフを参照してください。大証、頑張れ!

現実には、東証の圧倒的な力の前に、証券取引所が切磋琢磨するという状況にはないのかもしれませんが、長期的にはそれが機能することを信じ、かつ政府が競争促進策(具体的には弊害が多くて難しいんですが。。。)をとり、企業にとっても投資家にとっても適切かつ多様な選択肢が提供されることを願いたいところです。そのためにも大証、頑張れ!
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by neon98 | 2005-12-01 06:09 | Securities

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