NJのミツワまで来た際に近くに日本の古本屋を発見。文庫本一冊4ドルとアメリカにしては悪くない値段設定だったうえ、5冊購入で6冊目無料という特典付だったので、即購入。洋書を読むことは可能だけど、小説を無理なく読めるほどボキャブラリーは充実していないし、恥ずかしながら英語の本をリラックスした状態ではとても読むことはできない。貴重な古本屋を発見したので、大満足。
早速、村上春樹「アンダーグラウンド」(講談社文庫)を読む。地下鉄サリン事件の被害者のインタビューを題材にしたノンフィクションであり、当時の悲惨な状況が生々しい。一部の被害者が地下鉄の中でサリンで息苦しくなっても皆ほとんどしゃべらず、黙って違う車両に移る人のほかは沈黙したまま我慢していたけど、アメリカだったら皆が騒ぎ出してもっと早く窓を開放していたのじゃないかと語っていた。電車、バス、エレベータの中では静かにするという文化的背景が特に日本では強く、そのことが被害を強くしたのかもしれない。知らない人同士の距離感が日本とアメリカでは随分異なるということを改めて感じさせられた気がする。
震災のような目に見える災害(皆が皆災害が発生したことは認識して行動していた)とは異なり、それぞれが地下鉄で毒ガスがまかれることは予想していなかった事件がゆえの事情もあるだろう。
日本の安全神話が既に崩壊してきている現在、自分たちの身を守るための教育というものが会社、学校などでもっと取り入れられてもいいのかもしれない。