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プロ野球は死んだのか
僕が日本のプロ野球を見なくなってから随分久しい気がする。フリーエージェントで巨人が実績のある選手を獲得してはつぶしていく(一部例外はあるにせよ)のに耐えられなくなったのか、単に応援する球団がなくなってしまったのか、たぶん両方なのだろう。

金で他球団から選手を獲得すること自体は別に批判されることじゃない。問題はそこにポリシーがあるのかどうかだけだ。阪神が金本を獲得したことを失敗だという人はいないし、彼は稀な努力の結果、今の地位を築き上げ、他の選手に多くのものを与えてきた。星野さんは野村阪神で築いてきたものを開花させただけだという言い方をして謙遜していたけど、球団経営に金をかけないというフロントの姿勢を変え、選手補強にあるべき金の使い方をしてきたのは彼の実績だと思う。弱くても阪神を応援しつづける地元ファンの優しさに甘えつづけ、徐々にファンが球団を見放していくまで何もしなかったフロントが球団経営に危機感を持つ時期に監督に就任したのも彼の幸運だったのかもしれない。いずれにせよ、球団の弱点を見極め、内部競争を高める補強をしていくのは球団としてあるべき姿勢だと思うし、そのことを批判するつもりは毛頭ない。

翻って巨人はどうかというと、まあ今の成績と人気のなさを見てわかるように、ここ数年の補強政策はそのほとんどが失敗してきたといわざるをえない。小久保のように継続的に実績を残す人もいるにせよ、FAで獲得した選手で活躍しているのはほんのわずかだ。なぜまた長距離砲がもっと必要なのかわからないタイミングで長距離砲を手にいれていく姿勢は、単に金がある限り移籍市場にでた「買い物」をせずにいられないという買い物狂い以外の何者でもないように思う。他球団に渡さないという防衛的戦略で、その選手が巨人で活躍するかどうかはあまり関係がないと思ってでもいるのだろうか。僕が今の巨人がよくないなあと思うのは単に「買い物」に失敗しつづけたという点ではなく、「買い物」を続ける結果、若い人の出番が失われ、努力をしてレギュラーをとろうという気持ちがなくなったからじゃないかという点だ。かつてさすが巨人というだけのこともあり、若手の中に、地味ながら3割を継続してうち、守備・走塁をこつこつとこなせそうな選手がごろごろいた。さあ今からとチャンスをつかみかけたときに上から実績のある高年棒の選手がふってきて、高いから使わざるを得ないとすればチーム内の競争もくそもあったものではない。長期的な選手育成を無視したポリシーなき補強というべきだろう。投手陣の緊急補強は現有の野手陣の放出と引き換えに行い、3年間はFAでの補強は行わないくらいのことは宣言してしまってもいいんじゃないか。ローズだって、清原だって、江藤だって、ほかの球団でまだまだ活躍できるだけの選手だ。もとより僕は巨人ファンじゃないから、巨人が強いかどうかはどうでもいいけどなんだかプロ野球が面白くないというのはどうにももったいない。

でも、巨人の運営方針がかわると僕がプロ野球をみるようになるかというと、そうでもないような気がする。かつて応援していた近鉄バッファローズはもう存在しないのだ。「合併ですか、はい、さようですか。」といってオリックスバッファローズを応援するほどファンは単純じゃないのだ。少し古いけど、阿波野がいて、ブライアントがいて、9点差でも安心できないけど、10点差で負けていてもまだまだ逆転できるんじゃないかというミラクルチームを僕は必死で応援した。一人一人の個人打撃成績のわりに集団で破壊力のある「いてまえ打線」と、阿波野、大塚、赤堀(もちろんあとで入ってくる野茂もすばらしかった。)に代表される投手陣。完璧にみえた西武と比較して、穴だらけにみえただけに応援するだけの価値が見出せたものだ。今はもう応援するところがない。球団を買いたいというところがあるのに合併を選択したのも解せなかったし、選手が物のように扱われるところをみたあとになんだか冷めてしまったというのもある。岩隈がオリックスではやれないという気持ちがなぜか理解できるような気がする以上、僕はオリックスはもう応援できないのだ(でも、岩隈には我侭を通した以上、成績を残すかたちで自己主張をしてほしい。)。

僕は阪神の地元で育ったので、阪神の躍進自体はすごくうれしい。なるべく素直に応援しようとはしている。でも、弱小阪神を応援しつづけてきたトラキチをずっと見続けてきただけに、今更強くなった阪神をみて「一緒に応援させてよ。」というのもどうも恥ずかしすぎる。そんな感じで、僕は阪神ファンに翻ることができる日を、少し恥ずかしげにじっと待っているわけです^^。
by neon98 | 2005-09-20 00:33 | よしなしごと
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