セブンイレブン・ジャパンが子会社の米セブンイレブン(テキサス州)に対して実施している株式の公開買い付けについて、米セブンイレブン側の社外取締役らで構成される特別委員会が買付価格が安いと判断し、買付申出を拒否するよう同社の株主に
勧告(SECFiling)した。
これに対して、セブンイレブン・ジャパンは、「買付価格は対象会社の株主に十分な利益を提供するものであり、対象会社特別委員会による上記提言は誠に遺憾」との声明を出している
(声明はこちら:PDF)。
買付対象である子会社側では、独立した取締役らで構成される特別委員会を設置し、Financial AdvisorとCounselをつけ、価格の妥当性を検証するという手続きをとって利害相反を調整するという極めて当然のことを実施したにすぎないのだが、実際に申出を拒否する勧告を出しているあたりが非常に面白い。事前に特別委員会とも協議して拒否されるような価格を設定するのが当然と思うのだが、十分事前に協議する機会があったはずの親子会社間でこのような事態になるのはなぜだろうか。
もっと面白いのは、米セブンイレブンの特別委員会が結論を出す前に既に同社の既存株主が訴訟を提起し、同社の取締役らが提案された取引の価格に関して少数株主に対する注意義務を怠ったと主張していること
スケジュールTOのItem11参照。特別委員会が判断を下す前から訴訟がどんどん提起されているのが如何にもアメリカらしくて思わず感心してしまった。クラスアクションでは一番乗りしないと弁護士としてのメリットがないということなのだろう。
アメリカにおける手続き的な慎重さは、常に原告側弁護士が訴訟の材料を探し回っていて、訴訟をどんどん提起することを土台にしている。アメリカの不健全な訴訟を背景に、健全な(慎重な)手続きがとられ、株主の保護が図られるという関係にあるように思う。
わが国ではアメリカからCorporate関係の法律をどんどん導入する傾向にあるけど、社会的な背景の違いを無視して議論がなされるべきではないだろう。たとえば、株主代表訴訟の制限などは実際にどれだけの訴訟が提起されていて、どれだけの弊害が生じているのかなど具体的なデータの比較がなされたのだろうかと思うと、疑問がないではない。