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PrivilegeとInternal Investigation
Practising Law Instituteで、The Attorney Client Privilege and Internal Investigationsというセミナーがあったので参加してきました。不祥事発見の際の内部調査に関しては以前からずっと興味があったので、企業側の弁護士として(1)企業の刑事罰・行政罰を回避・軽減するためにどう行動すべきか、(2)Inhouse/Outside Counselそれぞれの立場で誰に対して報告すべきか、(3)民事訴訟でのPrivilegeの確保と捜査協力、(4)Conflictと弁護士倫理などの問題について楽しくきかせていただきました。Hypoは概ねこんな感じです。

1. PはA社のCEO兼議長である。ライバルのB社の社長であるQから、A社従業員がB社のWEBサイトにハッキングし、企業秘密を盗み出していると通告され、刑事告発および民事訴訟を提起することを示唆された。PはすぐさまInhouseのIに相談し、PとIは内部調査を行うことを決定した。誰が内部調査を行うべきか。

2. PとIは最終的にOutside CounselであるOに内部調査を依頼することにした。Oは「私の調査範囲はどこまでで、予算や調査対象資料などはどうなるのか」と聞いてきた。また、報告は誰に対してするのか、書面によるべきか口頭によるべきか。

3. Oは第一次調査の結果、従業員Bが不祥事を働いている可能性が高いと判断した。また、従業員Bの部署の部長Cもまた不正を知りつつ、何もしなかったという疑いを抱いていた。OがまずCにインタビューをしようとした際、「あなたは私の弁護士ですか?私自身に弁護士が必要ですか?必要だとしたら有能な人を紹介してもらえませんか?」と聞いてきた。

4. OはさらにBに対してインタビューを試みたが、Bは弁護士を雇いたいというので後日にインタビューを延期することにした。Bは弁護士と相談した結果、インタビューに協力しないと通告してきた。A社はBを解雇できるか?〔設問を一部変更〕

5. OはA社に詳細な報告書と簡易な報告書を提出した。A社は捜査機関に簡易な報告書を提出したが、検察官からは詳細なものを見せるように言われた。どうするか。Privilegeの放棄との関係を考慮せよ。

面白かったのは、内部調査を行う法律事務所自体がAdversed Partyにあたり、開示がWaiver of Privilegeにあたると解釈する余地があるとして、不祥事の内部調査を行う際に、(1)特別委員会を設置し、(2)委員会がPrivileged書面を読む法律事務所とPrivileged書面以外の内部調査を行う法律事務所を分けて内部調査を依頼(調査事務所にはPrivileged書面を開示しない)し、(3)委員会が両方の調査報告書の大筋に齟齬がないか確認(齟齬がなければPrivileged書面は結論を左右しないから、調査事務所の調査に問題はないという理屈)し、(4)さらに、事件全体を扱う法律事務所は別に雇うということが実際行われたと聞いたこと。これにはさすがのアメリカ人弁護士も皆そこまでやるか?と思ったらしい。
by neon98 | 2005-12-22 07:34 | LEGAL(General)
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