福井総裁の村上ファンドへの投資という一件については既に
Bewaadさんや
47thさんのエントリで言い尽くされている面があるので、恐縮ですが。
立花隆さんがメディア ソシオ=ポリティクスで
福井総裁「利殖の構図」村上ファンド事件とは何かという記事を書いておられる。政治・外交ものや歴史ものに関していうと、この人の文章は読みがいがあるのだが、経済絡みのことになるといつもあちゃーという記事が多い。今回も期待通り。6月26日発売の「週刊現代」の記事「これが疑惑の総裁福井俊彦と『村上ファンド』の<秘>契約書だ!」を私はむろん入手していないのでなんとも言えない部分はあるのだが、どうも彼は閉ざされた特権的な人脈を問題にしているらしい。
驚くべきことには、同誌は福井総裁と村上ファンドの間の契約書を、一般には外部に出てこない「サイドレター」形式の秘密契約部分まで含めて入手し、それを詳細に分析した上で、これまでのこの問題に関する福井総裁の釈明発言がウソばかりであったことを暴いている。
たとえば、そもそも福井総裁がなぜ村上ファンドに投資したのかというその意図の説明だ。福井総裁は、それは金儲けが目的だったわけではなくて、日本の資本主義をもっと健全なものにするために、株主の権利をもっと拡充すべきだとする村上の主張に共鳴したためだとしていた。しかし、その投資がもっぱらキャピタルゲインを目的とするものであることが契約書に明記されている上、目標とする利回りが年25%というとてつもない額であったことが、サイドレターにちゃんと記されていたのである。
福井総裁の実際に得た収益は、年25%までいかず、年17%〜18%にとどまっていたことが明らかにされているが、一般庶民は銀行にどんなに預金しても、年1%(あるいはそれ以下)にしかならないゼロ金利時代である。17〜18%でも庶民にとっては夢のような金利である。
そのような特別契約を、ゼロ金利時代の演出者にして管理者であった日銀総裁が、特別の金融業者と秘密裏に結んでいたとあっては、神崎発言にあった通り、「庶民感情としては納得できないものがある」といわなければならない。
東大生の教養のなさを嘆くような人が投資時点の年利だけを問題にされるのはどういうことか。日銀総裁の地位を利用してめったに購入できない安全かつ高利回りの金融商品を購入したとでもいうのだろうか。当然に値上がりする未公開株を配ったリクルート事件じゃあるまいし、投資時点での村上ファンドのトラックレコードがどれほどであったというのか。「金儲けが目的ではない」という総裁の発言は言葉のあやであろうが、高い投資利回りを目標に掲げることと、「日本の資本主義をもっと健全なものにするために、株主の権利をもっと拡充すべきだとする村上の主張に共鳴」とは両立するものである。あるビジネスの初期は常に閉ざされた人脈の中で発生するものではないのか。いきなり村上ファンドが庶民相手に公募で資金を募集すべきだったとでもいうのだろうか(^o^)。実現可能とは思わないが、できたとしてもその方がよほど問題だろうに。
日銀総裁といえば、総理大臣や最高裁長官と並ぶような国家最高の公人である。それが国家が財政的に破綻に瀕しているときに、私利私欲を満たすことを主目的として行動していたことがあると知れただけでも大問題(後略)
日本においては公職にあるものは金融商品を購入してはいけないらしい。Orz
最近のニュースを見ていると、年金、医療などで、国民負担がさらにふやされ、消費税率アップなど増税は目の前、その一方で社会福祉制度の一方的給付水準切り下げなどが予想され、小泉改革による格差社会化はこれからもどんどんひどくなりそうである。その格差社会の中心部で、一部のウハウハ階級がさらにウハウハできるスキームが進行していたというのが、村上ファンド事件の本質ではないか。
と言われるが、無理やり格差社会と結びつける必要はないわけで。何か問題らしきことが起こるたびに大衆受けのするよくわからない論理をふりかざし、ウハウハ意味のない突撃取材を繰り返しながら、一部の人しかウハウハできないような格差のない記事を書き連ねるのがマスメディアの本質ではないか(^-^)。(新たな絵文字をマスターしようとしてたりする今日この頃。実は絵文字ってあまり理解せずに読み飛ばしていたりする・・・。)