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Day 2-3 Grand Canyon:「トキメキ」
Ritzっていいなあ、一つ一つの細かいところまでこだわった内装とサービスが日本人にはたまらない。VegasだからRitzも安いという理由で初日にRitzだけどこれから当然ホテルのランクは下がっていく。アメリカの良さはあちこちにMotelが林立していて、よほどの都市部でない限り予約なしで飛び込んでまず問題がないこと。本日の目的地はGrand Canyon。夏なので一応Holiday Innを予約しておいた。あとはひたすら走るのみ。ホテルの敷地内をぶらぶらしたりしたせいか、Startが遅れる。Grand Canyonに到着した頃には午後4時頃。

Day 2-3 Grand Canyon:「トキメキ」 _d0042715_1030993.jpg20数年ぶりのGrand Canyon訪問に僕はあまり期待していなかった。初めて訪問する妻子が感動すればいいだろうし、「一度は見ておけ。Grand Canyon。」(by neon98)と言われる場所をまさか外すわけにはいかないのでいったのだが、受けた感動は「想定外」だった。壮大な光景をいざ自分で車を走らせ、圧倒的な光景を見ていると諦めに似た感動をおぼえてくる。無限のパノラマが欲しいくらいだ。とてもうまく写真では表現できないこの光景。ちょっとは写真をのせておこう。Day 2-3 Grand Canyon:「トキメキ」 _d0042715_1031558.jpg
ヨーロッパの階級社会を追い出され、あるいは飛び出てきた人達の目の前にある広大な土地。アメリカ人の声の大きさと自己主張の強さがわかったような気がする。この広さじゃ、多少の声の大きさとパフォーマンスじゃ消えてしまう。テキーラ、ビール、ピストルをぶら下げてピックアップトラックに乗って、俺っち一番と思いながら大声で走り続けないと金塊を手にすることはできないのだ。一番になった奴には文句なしの栄誉が与えられる、アメリカ社会で全力疾走する彼らの真髄をみたような気がして、僕はAmerican Dreamにしばし「トキメキ」を感じていた。広大な土地にロマンを感じるようになるとピックアップトラックに乗りたい気持ちがよくわかる。こんな土地シビックでは走れない。もっとワイルドさが必要だ。
Day 2-3 Grand Canyon:「トキメキ」 _d0042715_10321352.jpgDay 3はGrand Canyonを出てZionへ。American Dreamには肉だろ、なんて意味不明なことを思いながらハンバーガーとメキシカンを食べる僕に妻子の視線は冷たかった。そう、子供の食うものがほとんどないのだ。今回の旅は炊飯器を持ち合わせていない。国立公園のド真ん中で娘が確実に食するであろう日本の食物を発見することはほぼ不可能である。マカロニチーズはまずすぎる。ミニハンバーガーはどこがミニやねんというデカさで一口しか食べなかった。訪れるところのいずれにもコメのメニューがない。もちろんうどんなど食えるはずもない。American Dreamに沿った食事を継続すると気分はいいが、子供がやせ細ってしまう。こういう時にはChineseの助けを借りようということで、コメも野菜も食べられるChineseバイキングへ。助かった。ありがとう、Chinese。Chineseならアメリカ全土どこでもある。このとき以来旅行のときにはChineseレストランを重宝するようになった。

これだけ広かったら「一所懸命」なんて言葉生まれないだろうなあ。10センチの土地の境界画定訴訟なんか必要ないよなあ。なんか日本人が「コマカイ」性格になるのはしょうがないよなあ。こんなドデカイ土地の中で育ったアメリカ人がトコトン細部にこだわったような製品作るの無理だよなあ。

都市部と地方とで政権の支持基盤が違うのがよくわかる。こんな地方で育っているとワイルドな匂いのしない大統領候補ケリーなんて支持するつもりにならないだろう。このあたりのドライブなどパリ・ダカールラリーに出場したようなものだ。諦めに似た感動を感じながらAmerican Dreamに少しの間だけトキメキを感じていた。

〔魅惑のSalt Lake City編へ続く〕
# by neon98 | 2004-08-10 10:28 | 2004年8月国立公園巡り

Day 1 Las Vegas: 「自分の殻」
今日の気分はやや文学的だ。Marvin GayeのWhat's going on?のバックに流れるセクシーな吐息のせいか、地下鉄の駅にある洒落た広告をみて久しぶりに口にしたジョニ黒のせいかはわからないが、とにかく何かが無性に書きたくなった。夜一人の空間で、意味がわからないが耳に心地のいい音楽と、ウイスキーグラスに注がれたScotchと氷の奏でるハーモニーを聞いていると、自分に陶酔した文章を書いてしまうのも致し方のないことだ。

2004年8月のある日、Las Vegasの空港に降り立つところから僕の記憶ははじまる。砂漠の中のオアシスに欲望とエンターテインメントの街が突然あらわれる。空港の中からいきなりスロットマシーンが並ぶ。子供を抱いてスロットマシーンを眺めていると警備員が飛んできて、未成年者禁止ゾーンだから子供をつれて入るなという。通路のど真ん中にカジノを設置しておいて近寄るなもないだろうとぶつぶつと日本語で文句を言いながらスロットマシーンから離れる。近寄ったからといって、2歳にもならないわが子に何ができるというのだ。ヨダレだらだら攻撃をスロットマシーンに仕掛け、税収のもととなる機械を破壊することをたくらんでいるとでも思うのだろうか。おっと、自己陶酔の気分がヨダレだらだら攻撃を想像することによって失われてきた。元に戻そう。

Las Vegasはスペイン語で「草原」を意味するらしい。砂漠の中でのオアシスとしてLAまでの中継点として発展してきたLas Vegasらしいネーミングだ。ギャンブルが一時禁止された時代でも地下賭博が盛んだったらしいこの街はギャンブルの合法化によって経済を成立させ、NJのアトランティックシティというライバルが登場した後はエンターテインメントにも力を入れている。ネバダ州の税収の43%がギャンブル税により稼ぎ出されているという。シカゴマフィアとの関係なんかも興味深い。

Day 1 Las Vegas: 「自分の殻」_d0042715_740130.jpg空港でレンタカーを借り、西海岸的Free Wayでの暴走車両の間を抜け、Vegasの中心街に繰り出す。街中に巨大なスフィンクスやらピエロやら城やら林立するのはこの街くらいだ。派手さに定評のある日本のラブホテルが勝負を挑んでも到底かなうまい。ホテルでは儲からなくてもいいからホテルが安いと言われるLas Vegasは携帯電話の販売と通話料金みたいな経営形態になるのだろうか。ギャンブルやエンターテインメントとの抱き合わせにできる保証などどこにもないだろうに。

Day 1 Las Vegas: 「自分の殻」_d0042715_7274291.jpg超ラブホテル的喧騒のVegas中心部を脱出し、少し離れた箇所にあるRitz Carltonへ。Casinoの中をぶらぶらしてから、ホテルの敷地内を散歩し、子供とアイスクリームを食べる。噴水の側でジャズの生演奏がはじまった。夕暮れにそまりつつある空を眺め、演奏を聴きながら、Samuel Adamsを飲む。ビールはいつでもどこでも店にある限りSamuel Adamsだ。やがて食事が運ばれてくる。西海岸が近いと空の色が違うような気がする。Vegasでの一日が過ぎていく。

That's it? Nothing else?と聞く人にYes, that' itと笑顔で答える。サーカスなんかのエンターテインメントは見なかった。結局カジノもしなかった。何しにVegasまで?という人も多いけど、単に興味がないのだ。僕には日本では全くエンターテインメントに興味のなかった人がニューヨークに来て脅迫観念にとりつかれたようにミュージカルに通う姿の方が不思議だ。せっかいの機会だから新たに体験してみるのもいいだろう。僕もミュージカルくらいそのうち一度はいくだろう。でも、家族でVegasの不思議なホテルの大群をみてひととおりはしゃいで、食事と音楽を楽しんで快適なホテルで綺麗な星空をみてくつろいだらそれ以上何が必要なんだろう。

僕の中にある「自分の殻」。意外と固く、狭い「自分の殻」。村上龍が友人だったら、「ヨーロッパ社会におけるギャンブルは貴族と金持ちのみに許された高貴な遊びだ。持たざるものはひがんで見ていればいい。俺は金と酒とギャンブルと女が似合うから君とは違うけどね。」と言うに違いない。でも、僕は本当にひがんでいない。USOPENとか存在も知らなかったし、大リーグも面倒でチケットとらずにいたらシーズンが終わってしまったし、NBA、アイスホッケー、コンサート、オペラ、ミュージカルいずれも誘われたらいくけど別にいいやという感じで今のところどこにも行っていない。まあ嫌っているわけじゃないから中には行くものもあるだろうけどすごく興味があるわけではない。

僕の中にある「自分の殻」。そんなに自分を定義づけなくてもいいのに存在する「自分の殻」。旅行の予定を埋めていく作業が嫌いな「自分の殻」。団体ツアーには参加できない「自分の殻」。単にギャンブルしなかっただけで自己の心理分析をしてしまう「自分の殻」。時々破るけど基本は守る「自分の殻」・・・

Drink responsibly. Keep Walking. Johnnie Walker

(怒涛のGrand Canyon編へ続く)
# by neon98 | 2004-08-09 18:47 | 2004年8月国立公園巡り

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